2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高野 清 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (60302626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西尾 茂文 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (00111568)
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Keywords | マイクロチャネル / 流動抵抗 / 熱伝達 / マイクロ効果 |
Research Abstract |
1.実験装置、および測定方法 測定部は周囲へのヒートロスを極力低減するため、随所に真空断熱部を設け、試験液体流入部を除きすべてアクリルで作成した。試験液体入口より流入した試験液体は加熱部で約50℃に加熱された後、断熱部を経てマイクロチャネル(ステンレス製、内径:52.9μm、長さ:30mm)に導かれる。マイクロチャネル外側は、マイクロチャネルの長手方向と直角に流れる約20℃の冷却水により冷却される。試験液体には脱気した超純水を用い、高圧定流量ポンプにより加圧され、バッファータンク、フィルターを経て測定部に導かれる。また、実験装置は試験液体を加熟するための高温水循環系、水、あるいは空気によりマイクロチャネル外部を冷却する冷却系、ひずみ式圧力センサ(100kg/cm^2)、電磁流量計、K型熱電対などの測定系などにより構成されている。 2.実験結果 2-1.摩擦係数 実験は入口圧力、および出口温度をモニターし、これらの値が定常になった状態はマイクロチャネル内の熱流動が定常になった状態であると判断し測定を開始した。本測定では、摩擦係数を表すf・Reの値が通常スケールでの値の2倍程度であった。この理由として、マイクロチャネル入口・出口部で流れの急激な縮流・拡大が起こっているために圧力損失が増加した。あるいは、摩擦係数が管内径D_iの5乗に比例するため、使用したマイクロチャネルの管内径D_iが質量より算術平均して求めた管内径と異なり、測定誤差となった。さらに、マイクロチャネル入口部分の洗浄をする度にf・Reの値が変化することから、入口部分のゴミの付着が流動抵抗を増大させる一因となったなどの理由が考えられ、これまでのところ、摩擦係数が通常スケールでの値より大きな値を示す原因を特定できていない。 2-2.平均熱伝達率 マイクロチャネル内の平均熱伝達率h_iは、チャネル入口・出口での流入・流出エネルギー差がマイクロチャネル管外から強制対流熱伝達により奪われるエネルギーに等しいとし、管断面の総括熱抵抗より求めた。実験を行ったレイノルズ数範囲は120〜260で、測定された平均ヌセルト数は約0.7〜1.02であった。この値は、通常スケールでの等熱流束の4.36に比べて明らかに小さい。本実験範囲では、ヌセルト数はレイノルズ数に対して1.16乗の正の依存性を示すことが明らかになった。これらのことから、本実験で用いたマイロチャネルにおいても、近年様々な研究者により指摘されているマイクロチャネルで特異な熱流動特性が発現することを実験的に確認した。
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