2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875051
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 満 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (30010854)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 正弘 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00011130)
丸山 茂夫 東京大学, 工学部・総合試験所, 助教授 (90209700)
|
Keywords | 固・液接触 / 高温面 / 分子動力学法 / 蒸発・沸騰 / 熱伝達 |
Research Abstract |
高温固体壁面に対して微小液滴が接触や衝突するときの挙動は,例えば鋼材冷却における膜沸騰崩壊やリウェットの引き金となる現象に関連してきわめて興味深いとともに,その制御が可能であれば工業的に重要な応用が考えられる.ところが,高温壁面が濡れ始める物理機構に関しては,未知の部分が多い.そこで,本研究においては,分子動力学法を用いて高温固体面に微少な液滴が衝突した場合の挙動を検討した.高温固体は簡単なバネマスポテンシャルで表現した絶縁固体を考え,これに接触するアルゴン液滴の挙動を分子動力学法で検討した.アルゴンの液滴としては分子数数千個まで,固体面としては原子3層の薄膜で近似し,膜沸騰時の微小液滴の固体面衝突やリウェット現象の引き金となるであろう現象を模擬すべく,固体表面にアルゴン液滴を衝突させるシミュレーションを行った.具体的には,様々な壁面温度および衝突速度のシミュレーションの結果をもとに,アルゴン液滴の一部あるいは全部が表面に付着するか否か,液滴と固体面に温度差がある場合にどの程度のエネルギー授受が可能かをマップとして示した.壁面温度を300Kで一定として,衝突速度の小さい10m/sの場合には熱泳動によって衝突以前に跳ね返り相変化や熱伝達にはほとんど寄与しない.壁面で跳ね返る50m/sと100m/sを比較してみると衝突速度が大きい方がより壁面の近傍まで接近するため,より急激な相変化と熱流束を与える.一方,衝突速度が極めて大きい500m/sの場合には,壁面への衝突と同時に液滴重心の並進運動エネルギーの相当量が温度に変換されて瞬間的に液滴全体が蒸気となってしまう.
|