1999 Fiscal Year Annual Research Report
超構造有機蒸着膜を用いた界面制御形静電メモリの構築
Project/Area Number |
11875070
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮入 圭一 信州大学, 工学部, 教授 (10023251)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 栄次 信州大学, 工学部, 助手 (50303441)
|
Keywords | 静電メモリ / 空間電荷分極 / 蒸着重合ポリイミド / 固体電解質 / 分子分散膜 / 界面 / 積層膜 / 光電子機能材料 |
Research Abstract |
本年度は蒸着重合法によりポリイミド薄膜を作成して高電界下での電気特性を評価した。その結果、高温・高電界下において電圧を反転すると1m秒以下の短時間で空間電荷分極に伴う多量の分極電流が発生し、素子の電気特性に大きな影響を及ぼすことが判明した。そして、一連の分極処理によって本研究で用いるような厚さ100nmオーダーの薄膜において、高速かつ高密度の電荷保持能力を有する静電メモリが構築の可能性が認められた。 次いで、光導電性高分子として電子写真技術の分野において広く用いられるポリビニルカルバゾール(PVK)中に光・電子機能性分子をドーピングした薄膜においてドーパントとして用いた分子がトラップとして働き、これにより形成される空間電荷が素子の電気特性に大きな影響を及ぼすことが判明した。微量の固体電解質をドープして高電界を加えると、電解質の解離に伴って形成されたイオンが薄膜中を移動して電極と有機材料の界面の電界が強調されて素子の伝導電流が数桁上昇する。また、素子の電気特性は分子分散膜と下部電極の間に蒸着法により正孔注入層を挿入した積層膜の導入によってさらに大幅に向上することが分かった。この可動イオンは比較的長時間にわたって保持されるため、一連のイオン移動に伴う界面分極を利用した新規の薄膜静電メモリが構築可能である。 なお、一連の空間電荷分極に伴う界面電荷現象を表面電位測定により測定する予定であったが表面電位測定システムの製作が測定系と試料保持の整合性の問題から遅れておりこの件については現在検討中である。しかしながら、薄膜の空間電荷制御とこれによる静電メモリ構築についての可能性を見出すことが出来、当初の目的に沿って研究が進んでいるものと言える。
|