2000 Fiscal Year Annual Research Report
超構造有機蒸着薄膜を用いた界面制御形静電メモリーの構築
Project/Area Number |
11875070
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
宮入 圭一 信州大学, 工学部, 教授 (10023251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 栄次 信州大学, 工学部, 助手 (50303441)
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Keywords | 超構造有機薄膜 / 金属フタロシアニン / 界面 / 静電メモリー / エレクトロクロミズム / イオン空間電荷分極 / キャリア注入 / 酸化タンタル |
Research Abstract |
本年度は、有機薄膜蒸着装置の整備とこれを用いた薄膜の電気伝導及び電荷蓄積特性の評価を中心に研究を遂行した。酸化タンタルや酸化チタンは高誘電率誘電体薄膜として知られており、本研究室ではこれら酸化膜を反応性スパッタ法等により成膜する技術を確立している。そこで、これらの薄膜上に金属フタロシアニンを蒸着しさらに電子または成功輸送性有機膜を積層した後、電極を形成してこれを超構造有機薄膜とした。金属フタロシアニンはエネルギーギャップの小さな有機半導体でありこれを高誘電率酸化薄膜と導電性有機薄膜とで挟むことで金属フタロシアニン層界面に量子井戸が形成される。この量子井戸に外部電圧により電子もしくは正孔を蓄積することを試みたところ、金属フタロシアニン分子数相当の電子性キャリアの蓄積を確認した。また、金属フタロシアニンはエレクトロクロミズム現象を示すことが知られているため電圧印加中に素子の吸収スペクトルを観測したところ、電荷蓄積に伴う色素層の色変化を確認した。このことから、超構造有機薄膜界面には極めて高密度の電子性キャリアの蓄積が可能であり静電メモリー応用への糸口が見出されたものと考えられる。 また、本研究で提案する静電メモリーでは電極からの注入キャリア数と蓄積電荷量の制御が重要である。そこで、上記の研究と並行して電極界面での電子性キャリア量を制御することを試み、イオン性不純物ドープした有機超薄膜を作成し電界処理と電荷注入量の関係を調べたところ、不純物入り試料では電界処理により注入電荷量を2-3桁の範囲で安定に制御できることを明らかとした。 なお、本年度は有機薄膜作成条件に時間を要したため、界面の表面電位法を用いた静電気蓄積量の推定までには至らなかったが、電荷蓄積の見込みはすでについており当初の研究予定の遂行にあたって大きな問題はないと考えている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] E.ITOH.,T.YAMASITA.,K.MIYAIRI: "Effect of Lithium Perchlorate doping and prebiasing on Electrical Conduction of Molecularly Doped Poly (N-vinylcarbazole) Light Emitting Diode."Jpn.J.Appl.Phys.. 40. (2001)