1999 Fiscal Year Annual Research Report
化合物半導体ウェーハ加工に伴う研磨屑の回収・再利用に関する基礎的研究
Project/Area Number |
11875076
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
奥村 次徳 東京都立大学, 工学研究科, 教授 (00117699)
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Keywords | ガリウムヒ素(GaAs) / 半導体研磨屑 / 低圧インパクタ法 / 接触帯電 / 表面準位 / 微結晶粒 / 表面パッシベーション / 静電分離 |
Research Abstract |
本研究は、半導体の研磨屑の中から、特定の粒径・導電型の微小な結晶微粒子を分離回収するためのアイデアの実証を目的としている。本年度は、移動体通信の普及とともに生産量が急増しているガリウムヒ素(GaAs)について、その研磨屑の基礎物性を明らかにするために実験を進めた。 まず、低圧インパクタ法により、GaAs研磨屑中に含まれる微結晶粒の粒径分布の測定を行った。インパクタ法は、流体の流れの方向を急変させて粒子を流れから分離する方法である。本研究では、ノズル径の異なる12段(中心粒径:0.01μm〜4.6μm)の低圧インパクタ装置を用いて分離実験を行った。試料はラップ工程(砥粒:アルミナJIS#1500)で排出された研磨屑からアルミナを遠心分離により除去したものを用いた。捕集量を秤量し粒径分布を求める、通常の解析の他に、各捕集段の微結晶粒を走査電子顕微鏡(SEM)で直接観察し検討を行った。結果の概略は以下の通りである。 (1)GaAs研磨屑は単結晶の欠片であるため、その形状は多様である。粒径の大きなグループで特にその傾向が大きい。従って、インパクタ法で通常用いられている粒径の公称値とSEMによる実測値から算出した平均粒径とは大きく異なる。 (2)重量換算で約50%の微結晶粒は、その粒子径が100〜200nmの範囲にある。 (3)100nm以下の微結晶粒も10%程度は含まれているが、インパクタ法およびSEM観察での定量解析は困難である。 次に、接触帯電について理論的検討を行った。従来の取り扱いとの違いは、表面準位とフェルミ準位のピン止め効果、およびバルク準位によるキャリア補償の効果を取り込んだことにある。その結果、表面準位密度を10^<12>cm^<-2>程度以下に抑えることができれば、p型とn型(半絶縁性を含む)とで帯電量が約3倍も異なり、静電的な方法で両者を分離することが可能である。
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