2000 Fiscal Year Annual Research Report
有機色素をドープしたプラスチックファイバーを用いた超高速光回路
Project/Area Number |
11875083
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
木下 岳司 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (40195334)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 實 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90101998)
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Keywords | プラスチック光ファイバー / 非線形光学 / 光パルス圧縮 |
Research Abstract |
有機色素ディスパースレッド1(DR1)をドープしたシングルモードプラスチック非線形光学ファイバーの作成プロセスを明らかにし、ピコ秒光パルスを伝搬させて非線形光学現象の観測を行った。 クラッドはメタクリル酸メチル、可塑剤フタル酸ベンジルnベンジルに重合開始剤BPOを加えて重合し、一方、コアはクラッドと同じ物質にDR1を添加して重合した。発泡を避けるため温度を78℃に正確に調整して4時間重合した。屈折率制御のためにDR1添加率(1wt.%以下)を調整した。直径1mmのコア母材を中空クラッドに挿入し加熱延伸して細径化した。このロッドインチューブ法を3回繰返してコア径9.0μmのファイバーを作成した。得られたファイバーのコアとクラッドの屈折率差は0.13%であった。コア径9.0μmは波長870nmでシングルーモード条件を満たすコア径8.6μmに近い値であった。 長さ8.6mmの作成したファイバーに波長870nmのピコ秒光パルスを伝搬させたところ、2.22psの入射パルスに対して1.17psの圧縮された光パルスが得られた。またスペクトルのピークは入射光に対して0.43nm短波長側にシフトし、ピークに対してスペクトル変化が非対称であることから四光波混合が起きていることが示唆された。スペクトルの広がりについては自己位相変調による最大周波数シフトの計算値に対応する0.56nmに対して、測定値は0.03nmであった。相互位相変調の観測はまだできていない。 以上、シングルモードプラスチック非線形光学ファイバーの作成プロセスを確立し、ピコ秒光パルスの非線形伝搬実験を行い、光パルス圧縮、四光波混合を測定できた。今後はファイバーの長尺化と相互位相変調によるロジックゲート動作等の実験を進め、有機非線形光学材料の特徴を利用したデバイスを実現していく。
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[Publications] 中村仁,加藤剛志,金井真実,木下岳司: "有機色素DR1をドープした非線形プラスチック光ファイバーの作製"応用物理学会講演会. 平成13年春. 29a-YB-1 (2001)