1999 Fiscal Year Annual Research Report
交通荷重によって構造物から発生する空気振動のシミュレーション
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11875096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 直志 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90127118)
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Keywords | 境界積分方程式法 / 境界要素法 / 空気振動 / 交通荷重 / 多重極法 / 橋梁 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は次のようである.先ず,橋梁を古典板理論によってモデル化し,これを有限要素法で時間域において解析した.次に交通荷重をバネ,ダッシュポット,質量系としてモデル化し,モデル橋梁を走行する際の橋梁振動を解析した.交通荷重は簡単のために1自由度系とした.また,橋梁の走行面には舗装不良のモデルとして段差を設けた.次に,空気振動については,問題を等価な波動方程式のクラック問題に置き換えた上で,時間域境界要素法の変分法による解法を用いて解析した.以上の解法を用いて,ある程度実現的な橋梁データを用いた数値解析を行い,橋梁周辺の音圧分布を計算した.この結果,路面が平滑な場合,荷重が橋梁に乗った瞬間と,橋梁を渡り終える瞬間に大きな音圧が発生するが,実際に観測される空気振動に比べて非常に小さいこと,路面の段差を考えると,荷重が段差を通過するところで大きな音圧が発生し,実際に観測されるものにある程度近づけることが出来ること等が結論された.しかし,それでもまだ実測された音圧より幾分小さめであり,今後荷重のモデル化や,橋梁のモデル化の精密化をさらに図って行くことが必要であることが結論された.一方,現実の複雑な構造物を取り扱う際に,巨大自由度の波動方程式を解くことが必要になる.この問題に対処するために,時間域波動方程式の高速多重極境界要素法に関する研究を開始した.現在まだ2次元問題の基礎研究の段階であるが,次年度にはより現実的な解析に発展させることが出来る見通しとなった.
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