1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子動力学ポテンシャルの格子気体モデルへの繰り込み理論
Project/Area Number |
11875134
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大野 かおる 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (40185343)
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Keywords | 繰り込みポテンシャル / 分子動力学法 / モンテカルロシミュレーション / 格子気体模型 / ポテンシャルマッピング / 分配関数 / 規則不規則変態 / 相転移 |
Research Abstract |
置換型合金の原子拡散や規則不規則変態などは長時間スケールの現象であり、分子動力学法の適用限界を越えている。この種の現象は格子気体モデルで扱うのが効率的である。本研究では、現実的な非離散系の分配関数と格子気体モデルの分配関数が等しいという条件から格子気体モデルの相互作用パラメータを決定するという、繰り込み理論を構築した。特に、副格子分割による繰り込み処方を提案し、Si結晶、Cu_xAu_<1-x>合金、C_<60>結晶に対する詳細な研究を行った。副格子分割による繰り込み処方とは次のような処方箋である:格子気体モデルで使用する規則格子の各点を囲むウイグナー・ザイツ(WS)セルを定義し、空間をWSセルで埋める。各WSセル内の粒子数は1または0とする。格子を二つの副格子A,Bに分ける。ポテンシャルが短距離力の場合、Aセル内の粒子の感ずるポテンシャルはその周りのBセル内の粒子の座標のみの関数として表される。従って中心のAセル内の粒子位置に関する局所分配関数の積分を行うと、その値は周囲のBセル内の粒子位置座標のみの関数となる。この局所分配関数の対数が1段目の繰り込みポテンシャルとなる。次にBセル内の粒子の感ずるポテンシャルは、周りのAセルからの1段目の繰り込みポテンシャルの和となる。従って、Bセル内の粒子位置座標に関する2段目の積分を行うことは容易に行え、分配関数が評価される。この対数が繰り込みポテンシャルとなる。この繰り込みポテンシャルをあらゆる最隣接セル粒子占有数の組み合わせに対して評価することにより、格子気体モデルの相互作用パラメータを多体力として決定する。本研究では、各温度でこのように決定された相互作用パラメータを持つ格子気体モデルのMCシミュレーションを行い、系の状態を調べるとともに熱膨張係数、相変態温度などの算定を行った。結果を実験データなどとの比較し、用いた繰り込み処方の妥当性の検討も行った。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] K.Ohno: "Theories on Critical Phenomena at Surfaces"Trends in Statistical Physics (Research Trends, Trivandrum). 2. 97-130 (1999)
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[Publications] R.Sahara,H.Mizuseki,K.Ohno,S.Uda,T.Fukuda and Y.Kawazoe: "Body-centered-cubic lattice model with many-body interactions representing the melting transition in Si"Journal of Chemical Physics. 110. 9608-9617 (1999)
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[Publications] R.Sahara,H.Mizuseki,K.Ohno and Y.Kawazoe: "Weak Universality of a Site-Percolation Model Including Two Different Sizes of Particles on a Square Lattice"Journal of Physical Society of Japan. 68. 3755-3758 (1999)
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[Publications] H.Ichikami,R.Sahara,H.Mizuseki,K.Ohno and Y.Kawazoe: "Monte Carlo Simulation of Cu-Au alloys on FCC Lattice with a Renormalized Potential"Materials Transactions, JIM. 40. 911-914 (1999)
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[Publications] M.Hasegawa and K.Ohno: "Monte Carlo Simulation study of the high-temperature phase diagram of model C_<60> molecules"Journal of Chemical Physics. 111. 5955-5963 (1999)
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[Publications] M.Ishihara,H.Mizuseki,K.Ohno and Y.Kawazoe: "Multi-Valued Magnetic Recording Scheme by Self-Organized Magnetization Dynamics"Materials Transactions, JIM. 40. 1319-1322 (1999)
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[Publications] K.Ohno, K. Esfarjani, Y.Kawazoe: "Springer Series in Solid-state Sciences, Vol.129 "Computational Materials Science : From Ab Initio to Monte Carlo Methods""Springer-Verlag, Berlin, Heidelberg. 325 (1999)