1999 Fiscal Year Annual Research Report
化学ポテンシャル勾配下におけるセラミックス複酸化物の腐食分解
Project/Area Number |
11875137
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水崎 純一郎 東北大学, 科学計測研究所, 教授 (90092345)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河村 憲一 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50270830)
二唐 裕 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (90006148)
川田 達也 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (10271983)
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Keywords | 複酸化物 / デミクシング / 生成自由エネルギー / ペロブスカイト型 / スピネル型 / ポテンシャル勾配 / 固体酸化物型燃料電池 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型ABO_3,スピネル型AB_2O_4等の複酸化物が元になる酸化物AO_2,BO等から生成するときの生成自由エネルギーは金属の酸化等に比べて極めて小さい.したがって,複酸化物を挟んで化学ポテンシャル差が与えられると,熱力学的にはこの複酸化物は容易に元の単純酸化物に分離してしまう筈である.この分離はイオン移動を伴うため,この現象がどの程度起こるかはイオンの拡散がどの程度起こりよいかによって決まると考えられる. 本研究では固体酸化物燃料電池材料と密接なペロブスカイト型酸化物YCrO_3を主要なモデル物質として取り上げ,このデミクシング現象の実在を検証し,合わせて理論との整合を明らかにすることを目指している.本年度は緻密焼結体作製法の検討,1400℃で固体電池を用いて焼結体試料内へ酸素ポテンシャル勾配を作り出して長期間保持しデミクシングを起こさせる実験,固体内イオン輸送現象論に基づくデミクシング現象の定式化と,それによる現象発生の速度論的予測などを進めた.緻密なYCrO_3の作製法は確立した.固体電池によって高温で酸素ポテンシャル勾配を作る実験は,1ヶ月程度連続運転した段階で試料を保持するアルミナ管がクリープ現象を起こすといる不測の問題に逢着し,実験手法,装置設計の大幅な手直しを行った.また,デミクシングの理論解析では,ペロブスカイト型酸化物の酸素透過性がデミクシングにどの様に関わるか等,理論面の新しい問題に取り組んでいる.現在,酸素透過が小さいスピネル型Fe_2SiO_4を用いて,デミクシングの生じることの検証を行う準備を進めている.
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