1999 Fiscal Year Annual Research Report
2液分相現象を利用した導波路型構造を持つ光機能性ガラスの作製
Project/Area Number |
11875139
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安盛 敦雄 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (40182349)
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Keywords | 分相 / ケイ酸塩ガラス / ユーロピラム / 蛍光 / 溶融 |
Research Abstract |
1.研究目的 液相線以上で2液分相を生じる系では、分相融液を、延伸操作を加えながら冷却することで、分相組織が延伸方向に伸長・配向したガラス材料の作製が可能になると考えられる。そこで本研究では、2液分相領域を有するCaO-SiO_2系融液に、蛍光物質として希土類イオンを添加し、延伸操作を加えながら急冷することにより、希土類が濃集したCaOリッチ連続相とSiO_2リッチマトリックスからなる導波路構造の材料を作製し、その蛍光特性、光増幅などの光学特性を調査することで、新しい光学材料作製の可能性に関して検討を行うことを目的としている。 2.研究結果 本研究では希土類として可視域に発光スペクトルを示すEuを選択した。Euを含有したCaO-SiO_2系において分相を示す所定の組成の焼結棒を赤外線集光炉を用いて溶融し、融液を分相状態にした後、急冷した。得られたガラスの分相組織を電子顕微鏡観察により調査した結果、組成によってスピノーダルおよびバイノーダル分相構造を有するガラスが得られることがわかった。また可視-紫外域での励起・発光スペクトルを調査した結果、波長393,464,525nmの励起光を用いることにより450-720nmにEuによる発光スペクトルがあらわれることがわかった。そのスペクトル解析から、ガラス中でのEuの価数は2+,3+の状態が共存していることがわかった。 3.今後の計画 雰囲気制御下で分相融液を延伸操作を加えながら冷却することで、分相組織が延伸方向に伸長・配向し、かつガラス中のEuイオンの価数が制御されたガラスを作製する。得られたガラスの吸収スペクトル、発光-励起スペクトル測定を行い、光学的特性と分相組織の関係を調査する。
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