1999 Fiscal Year Annual Research Report
アルコールによる水素脆化を利用したMg系容易破壊型接合材料の開発
Project/Area Number |
11875162
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
市野 良一 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70223104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 健介 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (00283408)
興戸 正純 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50126843)
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Keywords | 水素脆化 / Mg合金 / アルコール / 容易破壊型材料 |
Research Abstract |
本研究では現行のリサイクル・システムを大幅に改善・促進するため、製品・部品のスクラップを融解するあるいはシュレッダーによる破砕・切断を行う前に、接合された異種金属(合金)同士を分離するという観点に立ち、分離が容易な接合材について検討した。接合材の分離方法として、環境負荷の小さい「水素」に着目し、アルコール溶液への浸漬を利用した水素脆化を適用した。すなわち本研究の最大の特色は、材料の持つマイナスの因子と考えられている「水素脆化」を逆に材料開発に積極的に取り入れ、「壊れない製品」ではなく、「壊すことができる製品」を開発するための基礎研究である。 本研究では、「水素」によるトリガー機能を有する容易破壊型接合材料について検討した。具体的には、分離が容易な接合材として、軽量でかつ水素化物を形成しやすいMg系金属間化合物(Mg-Cu)を取り上げた。しかし金属間化合物は単体では脆いため、実用材料としては使用しにくい。そこで、母相中に金属間化合物を分散させたいわゆる複合材料化した合金試料を作製し、常温のアルコール系溶液を用い、より選択的かつ効果的な合金の「割れ」「剥離」「脆化」破壊を試みた。 Mg-Cu合金は、メタノールに浸漬し四塩化炭素を添加した場合、12時間紫外線照射することにより塊状の合金が粉末にまで粉砕された。破壊メカニズムは、アルコールが分解することにより水素を発生し、その水素をMg-Cu合金が吸収することにより、水素脆化を誘発していくものと推察される。Mg単体では水素脆化による劣化が見られなかったことから、Cuが触媒的な作用をしているものと考えられる。また、アルコールの分解により、水が生成されるため、この水分による局部電池生成による腐食型劣化も見られる場合があった。
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