1999 Fiscal Year Annual Research Report
グリーストラップ浄化能をもつ岩石中から分離した微生物の解析と利用
Project/Area Number |
11875177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
跡見 晴幸 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90243047)
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Keywords | グリーストラップ浄化能 / リパーゼ / エステラーゼ / プロテアーゼ / セルラーゼ / アミラーゼ / サーファクチン |
Research Abstract |
我々は、ある特殊な粘土質の岩石を食堂や台所の排水貯留槽(グリーストラップ)に静置させることにより、本来なら起こる油水分離、油画分の固化・高粘性化を防ぐことができ、BODも減少させる、という極めて興味深い現象を発見した。油成分が貯留槽の表面にこびり付くこともなく、槽内にはほとんど水と同程度の粘性をもつ均一な溶液が得られる。また、この岩石は一度加えるだけで、少なくとも2年間は同じ活性を示した。 この岩石中の微生物の存在を検討した結果、リパーゼ、エステラーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、プロテアーゼ活性および抗菌活性を有するR5株を分離することができた。菌学的手法および16SrRNAの塩基配列を決定した結果、R5株はグラム陽性のBacillus属に近縁な微生物であった。今年度は溶媒抽出、シリカカラムクロマトグラフィー、HPLC等の手法を用い、R5株が生産するBSを精製することができた。NMRや質量分析を行なった結果、本BSはサーファクチンと呼ばれるリポペプチド型のものであることが判明した。サーファクチンは抗菌作用を有することが知られているので、R5株の抗菌効果はサーファクチンに由来する可能性が高いと考えている。また、リパーゼとアミラーゼについて生産性を上げるための至適増殖条件を確立した。本条件の下で、大量の酵素を調整し、部分精製することができた。また、R5株については、至適増殖条件を見いだし、R5株は30℃で5時間以内に定常期に達するという、他のBacillus属の細菌と比較して高い比増殖速度をもつことがわかった。透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡を用いて形態学的な同定も行なった。
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