1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875186
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
長岡 正隆 名古屋大学, 大学院・人間情報学研究科, 助教授 (50201679)
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Keywords | 運動学的格子モデル / モンテ・カルロシミュレーション / 拡散係数 / 非平衡統計力学 / ストークス・アインシュタイン関係 / アインシュタインの式 / ラセミ溶液 / 分晶過程 |
Research Abstract |
本年度前半では、ラセミ溶液の分晶過程に対して、運動学的格子モデル(Kinetic LatticeModel(KLM))を構築して、それに基づく経験理論を発展させた。また重要な実験データの収集と分子軌道法に基礎をおいた有効相互作用の評価を重点的に行い、相互作用パラメータを数値計算を中心とした取り扱いにより決定した。 (1)文献調査:理論・実験両面の論文等の調査により概念的整備をし、従来の分子力学的取り扱いや分子軌道法的取り扱いの限界を把握し問題点を明らかにした。また対象となるラセミ溶液における分晶過程と光学分割全般に関する実験論文や実験データの収拾も行った。 (2)運動学的格子モデル(KLM)の構築と適用:ラセミ溶液のモデル化と溶存分子間の有効相互作用J_<kk'>の評価を次式に基づいて試みた。 J_<kk'>=∬E_<kk'>(ω,ω')exp(-βE_<kk'>(ωω'))dωdω'/∬exp(-βE_<kk'>(ωω'))dωdω' ここで、KおよびK'は、L体、D体エナンチオマー、あるいは溶媒分子を表す。並行して本理論を数値的に実証するための汎用性の高いモンテ・カルロ的コンピュータ・プログラムの開発を本研究予算で購入したコンピュータの支援の下に実行した。さらに非経験的分子軌道法や運動学的格子モデル(KLM)を基礎にStokesの式f=6πaηおよびStokes-Einsteinの式f=k_BT/Dより拡散係数Dを求め、さらに格子間隔を仮定して平均二乗変位を求め、Einstein関係式 D=<lim>___<1→∞>1/(4t)〈|r(n_<MC>)-r(O)|^2〉 と組み合わせて実効的な時間スケールを導入した。こうして本理論から得られる動的情報についての予測結果と以前の結果との比較吟味をした。
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