1999 Fiscal Year Annual Research Report
ルテニウム錯体触媒を用いるカルコゲン元素化合物の新規変換反応の開発
Project/Area Number |
11875192
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
光藤 武明 京都大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90026344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健司 京都大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10243049)
近藤 輝幸 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20211914)
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Keywords | ルテニウム錯体触媒 / ジスルフィド / チオール / 付加反応 / アリル化反応 / ジチオエーテル / アリルスルフィド |
Research Abstract |
硫黄、セレンなどカルコゲン元素を含む化合物は、遷移金属化合物と容易に反応し、多種多様な錯体を形成することが知られている。一方、触媒反応への展開を考えた場合、金属に配位したカルコゲン原子化合物は、比較的安定であり反応性に乏しく、また触媒毒として作用することが予想されたため、その開発は遅れていた。我々はこれまで、ルテニウム錯体の接触化学について詳細な検討を行っており、最近、新規チオラート架橋異種複核錯体(Cp_2Ti(μ-SR)_2RuClCp^*)の合成に成功し報告した。本錯体の生成は、ルテニウム錯体がカルコゲン元素化合物の新規変換反応を開発する上で高活性触媒と成り得る可能性を示しており、本研究では、以下に示すルテニウム錯体触媒の特性を活かしたカルコゲン元素化合物の新規変換反応の開発を行った。 1)ルテニウム錯体触媒を用いるジスルフィド類のオレフィンへの付加反応: Cp^*RuCl(cod)[Cp^*:pentamethylcyclo-pentadienyl,cod:1,5-cyclooctadiene]触媒存在下、ジスルフィド類の2-ノルボルネンへの付加反応が良好に進行し、対応する付加物であるvicinal-ジチオエーテルが高収率かつ高立体選択的(exo100%)に得られた。オレフィンとしては、2-ノルボルネン以外にも、エチレン、ビニルシラン、アリルアルコール、スチレン、アクリル酸メチル等の官能基を有する種々の末端オレフィンが適用可能であった。さらに、本反応の鍵中間体と考えられる[Cp^*RuCl(μ-SPh)]_2錯体の単離および単結晶X線構造解析に成功し、その反応性および触媒活性を明らかにした。 2)ルテニウム錯体触媒を用いるチオール類のS-アリル化反応: 我々は最近、π-アリルルテニウム錯体の接触化学について詳細な検討を行っており、本研究では、ルテニウム錯体触媒を用いる芳香族ならびに脂肪族チオール類の一般的な接触的アリル化反応の開発に成功した。アリル化剤としては、炭酸アリル類以外にもアリルアルコール自体が適用可能であり、さらに本S-アリル化反応の位置および立体選択性について詳細な検討を行った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "First Transition-Metal Complex Catalyzed Addition of Organic Disulfides to Alkenes Enables the Rapid Synthesis of vicinal-Dithioethers"Journal of the American Chemical Society. 121巻・2号. 482-483 (1999)
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[Publications] Teruyuki Kondo: "First Ruthenium-Catalyzed Allylation of Thiols Enables the General Synthesis of Allylic Sulfides"Journal of the American Chemical Society. 121巻・37号. 8657-8658 (1999)