1999 Fiscal Year Annual Research Report
反転場の導入によるポルフィリノイドπシステムの共役拡張と多重機能化
Project/Area Number |
11875194
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石川 雄一 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (30184500)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 健夫 大分大学, 工学部, 助教授 (80261501)
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Keywords | ポルフィリン異性体 / 反転ピロール / 反転場 / 面不斉 / 互変異性 / 反応性 |
Research Abstract |
ポルフィリン異性体として一つのピロール環が反転し、外周の窒素と環の中央を向いた内部炭素を持つ反転ポルフィリンがある。この反転の状況は、反応活性なイリド様状態の描写を可能にする。反応性の視点から、反転の導入が与える効果を眺めたところ、(1)内部炭素と求電子剤、(2)外周Nの隣りのα炭素と求核剤、(3)外周Nとアシル基が反応し、各々、ニトロ体とアルキル体、シアノ体を与え、反転部位の多用な反応性を実証した。反転ポルフイリンには、外周窒素が関与した、内部コアに三個と二個の水素原子を持つ互変異性体が存在する。上述した、求電子剤と求核剤との反転ピロール環との反応性は、この互変異性と関係している事を認めた。Gaussian94によるab initio(RHF/6-31G)計算から、(1)内部炭素はδ-であり、そのHOMOの軌道も大きく広がっているために求電子剤と反応しやすい事、さらに(2)外周窒素の横のα炭素は、二個の水素原子が内部コアに存在する互変異性体の時にδ+性が強くなり、そのLUMOの軌道も大きく広がることが判った。互変異性は、溶媒により制御できるので目的とする反応の選択性にとり溶媒の選定が重要である事を明らかにした。 内部炭素の反応性を利用し、ニトロ基の導入、その還元、ニトロソベンゼンとの反応により内部炭素からアゾベンゼン基がでた構造体をえることに成功した。さらに、内部炭素に置換基を導入すると面不整になることも、光学分割カラムを利用したHPLC分取とCDスペクトルから確認した。
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