1999 Fiscal Year Annual Research Report
二分子膜フィルム系でのフラーレンファミリーの多価アニオン形成と新機能開発
Project/Area Number |
11875207
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 直敏 長崎大学, 工学部, 教授 (80136530)
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Keywords | フラーレン / 多価アニオン / 高次フラーレン / 人工脂質二分子膜 / カチオン脂質 / 電気化学 / 分子機能電極 / 電子移動メカニズム |
Research Abstract |
フラーレン類の多価アニオンの構造と機能開発は、フラーレン科学の重要なテーマであり、基礎から応用にわたり化学、物理、応用物理、生物等の領域において多くの関心を集めている。本研究者は、ごく最近フラーレンフィルムの多価アニオンを形成させる極めてシンプルな手法を発見した。すなわち、C60をカチオン型合成脂質フィルムにコンポジットさせることである。ここではこの発見に基ずき、二分子膜フィルム系で、なぜC60多価アニオンが安定に形成されるのか。そのメカニズムは何か。また、高次フラーレンも同様の挙動を示すのかに焦点を当て研究を行い以下の成果を得た。 二鎖型、三鎖型、および四鎖型の4級アンモニウム脂質をマトリックスとして、C60/脂質コンポジットフィルム修飾電極を作製し、水溶液中でのC60の電子移動特性を調べた。二鎖型ではフラーレンジアニオン形成に至る2段階還元反応が、また、三鎖型、および四鎖型では、C60トリアニオン形成に至る3段階還元反応が観測された。二鎖型に比べ、三鎖型、四鎖型では、C60アニオンとの強いクローン相互作用のため、酸化還元電位の正方向へのシフトが生じ、結果として、C60トリアニオン形成が水溶液系での電位窓で観測される。また、四鎖型の鎖長依存性を調べたところ、C7(カーボン数),C8の4級アンモニウムが酸化還元電位の正方向へのシフトが最も大きく、C6では、電子移動はまったく認められなかった。これらの結果を基に、C60多価アニオン形成のメカニズムを推定した。 一方、高次フラーレンC84を用いて、上記のC60と同様の実験を行い、フィルム系でC84のテトラアニオン形成が可能であるという興味ある成果を得、このメカニズムを提案した。
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[Publications] T.Nakanishi: "Electrochemistry of Fullerene C60 Embedded in a Gel-like Membrane of Tetraoctylphosphonium Bromide on an Electrode in Aqueous Solution"Chem.Lett.. 2000(in press). (2000)
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[Publications] H.Murakami: "The Synthesis of a Reconstituted C60-Protein"Chem.Lett.. 2000. 46-47 (2000)
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[Publications] H.Murakami: "Synthesis,Aggregate Structure and Electrochemical Properties of a Water-Soluble Fullerene-Bearing Ammonium Amphiphile"Chem.Lett.. 1999. 815-816 (1999)