1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11875210
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
堀 照夫 福井大学, 工学部, 教授 (90092832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末 信一郎 福井大学, 工学部, 助教授 (90206376)
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Keywords | 超臨界流体 / 二酸化炭素 / 繊維 / 分散染料 / 溶解度 / ガラス転移温度 / 溶媒和 / 分配係数 |
Research Abstract |
当初の計画どおり,超臨界二酸化炭素流体(SCF)を媒体して,ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維およびポリプロピレン(PP)繊維に対する各種化合物の吸着について研究を行ったが,この中でベンゼン誘導体などの低分子化合物はSCFに対する溶解度が高すぎること,繊維に対する親和性が低すぎることの理由で吸着性が悪いことが解ったため,主にアントラキノン誘導体およびアゾ化合物などの分散染料モデルに絞って,溶解度,分配係数,蒸気圧を求めた。これらのデータは新しく導いた熱力学関係式を用いて解析し,以下のような重要な結果を得た。 (1)染料程度の分子量の疎水性化合物の二酸化炭素に対する溶解度は密度上昇と共に指数間数的に大きくなり、モル分率で10^<-5>〜10^<-6>のオーダーである。(2)これらの化合物の吸着速度は従来の水系からのそれに比べて著しく速くなり、30分程度で吸着平衡に達する。(3)染料の固体状態、超臨界流体中での溶解状態、染着状態間での化学ポテンシャルを数学的に記述し,平衡では,染料の浴と繊維内への分配係数Kの対数と流体の密度ρの対数の間には直線関係が成り立つ。(4)(3)の関係が2つの系で実証でき,さらに直線の傾きから溶媒和数が3〜7と算出できた。(5)その他,各種高分子について超臨界二酸化炭素流体中ではガラス転移温度や融解温度が著しく低下するものがあることを見い出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 堀 照夫: "超臨界二酸化炭素を用いる繊維の染色"Jasco Report, 超臨界再新技術. 特集第3号. 32-38 (1999)
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[Publications] 堀 照夫: "繊維産業 地球を救う環境マニュアル 「16-2 超臨界二酸化炭素流体中の合成繊維の染色」, 分担執筆"繊維社. 8 (1999)