2000 Fiscal Year Annual Research Report
極超音速衝撃波層における固体壁電気境界条件に関する研究
Project/Area Number |
11875216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐宗 章弘 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (40215752)
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Keywords | 極超音速流 / 高エンタルピー流 / プラズマ / 大気圏再突入 / シース / イクスパンション管 |
Research Abstract |
これまで、大気圏再突入に関わる流体の研究は、壁面の電気的な条件が考慮されずになされてきたものが殆どだった。ところが、超軌道速度での再突入では電離度が10%を越えることも有り得るため、プラズマ流体としての取扱いが必要になる。本研究では、その中の代表的な現象である、固体壁の電気境界条件について実験研究を行った。まず、イクスパンション管を用いた超軌道速度流れの発生法を確立した。実験室の限られた環境でそのような極限的な高エンタルピー流れを発生させるため、自由ピストン駆動部の条件をチューンドオペレーション法を改良することによって確立した。また、試験気流の状態を、従来の静圧、ピトー圧測定のみに頼らず、衝撃波層の高速度写真撮影、時間分解発光分光測定を通して、より精度よく測定した。特に、上記分光測定によって加速気体と試験気体の接触面を明確に測定し、許容誤差の関数として試験時間を評価した。淀み点エンタルピーは、最高37MJ/kgまで達成した。試験気流中に静電探針を置いてその浮遊電位を測定したところ、境界層の状態に依存して大きく変動することがわかった。また、二波長ホログラフィー干渉計法による円柱周りの衝撃波層の可視化実験を行い、浮遊電位金属壁、グランド電位金属壁、絶縁物壁による電子密度の違いを測定した。しかし、その差異は測定誤差の範囲内であり、電子境界条件がシース外部の流れ場に大きな影響をもたらす条件は見出せなかった。本研究の結論として、固体壁の電気境界条件は流れ場の大きな構造を変えるまでには至らないが、浮遊電位は大きく変動し、再突入物体の通信、計測機器への配慮が必要となることが示唆された。
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[Publications] Hathyue TJ,Bishop AI,Thomus Am,Sasch A,Rubinsztein-Dunlop H: "Ionizing Nitrogen and Air Flows in a Superorbital Expansion Tube"AIAA J. 38・9. 1685-1691 (2000)
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[Publications] Sasoh A: "Flow Establishment Over Constricor in Arcjet Operation"Transactions of the J.Society for Aero and Space Sci.. 43・139. 23-30 (2000)
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[Publications] Sasoh A,MorganRG,LittletonBN,McIntyreTJ,Bishop AI: "High-entaly Expansion Tube Experiments With Gas Injection"AIAA J. 38・12. 2253-2259 (2000)
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[Publications] Sasoh A: "Plural Voltage Minima in Arc-Heated Channel Flow"Phys of Plasmas. 8・4. (2001)