1999 Fiscal Year Annual Research Report
MATベクターシステムによる果樹類のマーカーフリー形質転換系の確立
Project/Area Number |
11876007
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田尾 龍太郎 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10211997)
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Keywords | MATベクター / アグロバクテリウム / 形質転換 / 果樹 |
Research Abstract |
当初の研究計画の通り,形質転換効率などの評価に有効であると考えられるGUSリポーター遺伝子を指標に形質転換効率の推定が可能なipt型およびrol型MATベクターを果樹類への感染性が高いことが報告されているアグロバクテリウムの菌株EHAl05に導入した.このようにして作製したアグロバクテリウムを用いてブドウとカキの培養シュートに有針接種を行った.カキではいずれのMATベクターを用いた場合も,ブドウではrol型MATべクターの導入されたアグロバクテリウムを感染させた場合は,接種部位に何の変化も起きなかった.しかしながら,ipt型MATベクターを感染させたブドウにおいて,感染部位にクラウンゴールの形成が認められた.このクラウンゴールを切り取り,除菌のための抗生物質であるクラフォランを添加したホルモンフリーのMS培地に植え付けたところ,旺盛な生育を示したが,不定芽などの器官形成は認められなかった.除菌完了後,増殖したクラウンゴールの一部を用いて,粗酵素液を調製しGUSの活性測定を行ったところ,GUS活性が認められ,外来遺伝子の導入と発現が確認された.また同様に,形成されたクラウンゴールの一部からDNAを抽出して,PCRにより離脱カセット部位および目的遺伝子導入部位DNA断片の増幅を行ったところ,期待されるサイズのDNAフラグメントの増幅が認められ,DNA分析によっても遺伝子導入が確認された.ブドウとカキに限らず,より多くの果樹類でMATベクターの使用が可能であるかどうかを検討するために,二ホンナシやセイヨウナシなど,他の果樹類のシュート培養も開始した.
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