1999 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌のカルコン合成酵素様遺伝子を用いたフラボノイド醗酵生産の基盤研究
Project/Area Number |
11876018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀之内 末治 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (80143410)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大西 康夫 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (90292789)
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Keywords | 放線菌 / ポリケタイド / カルコン合成酵素 / 遺伝子操作 / 有用物質生産 |
Research Abstract |
放線菌Streptomyces griseusからクローニングしたrppA遺伝子は、植物のフラボノイド化合物合成の鍵となるカルコン合成酵素に似た蛋白をコードしている。N端末側にヒスチジンタグを付加した融合蛋白を大腸菌で大量に生産させたところ、約40kDaのホモダイマーであった。本酵素は、マロニルCoAをスターターおよび伸長ユニットとして5分子縮合させ、環状化、脱炭酸を伴って、1,3,6,8-テトラヒドロキシナフタレン(THN)を生成する新規なポリケチド合成酵素であることが判明した。また基質特異性を検討したところ、メチルマロニルCoAやその他いくつかのCoA化合物をスターターとすることが明らかとなった。 rppA遺伝子を破壊すると、菌糸特有のメラニン色素が消え、いわゆる「アルビノ」形質を示した。従って、rppA酵素は、マロニルCoAからTHNを生成し、このTHNがメラニンの前駆体となると予想された。rppA遺伝子は多くの放線菌に分布しており、その近傍にp-450遺伝子を伴っていた。このP-450遺伝子を破壊すると、フラビオリンと同定された赤色色素が蓄積した。フラビオリンはTHNから自動酸化で生成されると考えられるため、rppAとP-450遺伝子が対となって放線菌全般のメラニン色素合成を担うことが示された。
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