1999 Fiscal Year Annual Research Report
好アルカリ性Bacillus属細菌細胞膜外表面付近のpHの測定
Project/Area Number |
11876022
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
青野 力三 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (30126643)
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Keywords | 好アルカリ性細菌 / Baciluus 1entusC-125株 / 細胞膜 / 細胞膜-細胞壁領域pH / プロトプラスト / リン脂質ベシクル / 環境pH応答性蛍光色素 / フルオレセイン |
Research Abstract |
現在、微生物の細胞内pHを測定する方法がいくつか確立されている。細胞内と細胞外における弱酸または弱塩基の濃度平衡、細胞内に取り込ませたpH感受性蛍光色素の蛍光強度、細胞内リン化合物の^<31>P-NMR、などを基にして計測する方法である。しかし、微生物細胞の細胞膜外表面付近のpHを実測する方法については知られていない。本研究では、疎水性アンカーを有するpH応答性蛍光性色素を細胞表面に結合させることによって、好アルカリ性Bacillus属細菌細胞膜の表面付近のpHを測定することを試みた。pHプローブとしては、pH応答性蛍光性色素フルオレセインと疎水性アンカーホスファチジルエタノールアミンとが共有結合したフルオレセインホスファチジルエタノールアミン(FPE)を用いた。 好アルカリ性細菌Bacillus lentusC-125株から抽出したリン脂質を用いて調製したベシクルにFPEを負荷する方法を確立した。ベシクルに負荷したFPEの環境pH応答性蛍光強度を測定し、ベシクル外表面付近に存在するフルオレセインの解離定数を推定した。推定された解離定数のイオン強度および2価カチオン濃度依存性をもとにして、フルオレセインがベシクル外表面から約0.6nmの距離に存在することを認めた。FPEを負荷したB.lentusC-125株細胞から調製したプロトプラストにおいても、フルオレセインはプロトプラスト外表面から同様の距離に存在することが認められた。したがって、FPEを生細胞に負荷することは可能であると考えられた。現在、B.1entusC-125株生細胞の細胞膜に効率的にFPEを負荷する方法を開発中である。FPEを負荷したC-125株生細胞をアルカリ性環境に曝露し、細胞膜-細胞壁領域のpHを測定する予定である。
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