1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11876023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 昌 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (70093250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 達彦 筑波大学, 応用生物化学系, 教授 (70221976)
片岡 道彦 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (90252494)
小川 順 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70281102)
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Keywords | 分泌機構 / 脂肪酸分泌 / 高度不飽和脂肪酸 / アラキドン酸 / 油滴小胞 / Mortierella alpina |
Research Abstract |
生物細胞がその生産物を分泌あるいは漏出する機構の解明は、生物学における重要な基礎的知見をもたらしてきたと同時に、物質生産における技術革新に貢献してきた。しかし、今までに脂質の漏出が認められたことはなく、その現象の発見、機構の解明が待たれていた。本研究では、アラキドン酸生産性糸状菌Mortierella alpina 1S-4から脂質漏出株を育種し、その機構解明を目的とした。 Mortierella alpina 1S-4の胞子を二トロソグアニジン処理し、寒天培地上に出現したコロ二一を形態的特微とガスクロマトグラフィーによる脂肪酸組成分析に基づいて選抜した結果、親株と生育形態の明らかに異なる変異株V6を得た。親株である1S-4株が寒天培地上にてコロ二一全体が菌糸で覆われるように生育するのに対し、V6株のコロ二一表面は油状の小胞(油滴小胞)により覆われていた。V6株を寒天培地上で生育させた場合、生成した脂質の約90%がトリアシルグリセロール(TG)であり、全脂肪酸中のアラキドン酸含量は約50%に達し、脂質組成・脂肪酸組成においては親株と同様の性質を示した。また、コロ二一表面の油滴小胞のみを回収し、脂質組成・脂肪酸組成を分析したところ、それらは菌体内部のものとほぼ同様であることが判明した。V6株を液体培養するとTGを主体とする脂質が培養液中に漏出することが認められた。脂質漏出における最適培養条件を検討した結果、高グルコース濃度(8%)の培地にて、pH6.5、28℃にて振とう培養するのが有効であると判明した。最適培養条件下では、漏出総脂肪酸量は2.75mg/mlに達し、アラキドン酸としては0.52mg/mlとなった。この値は菌体内総脂肪酸量の1.3倍、アラキドン酸量としては菌体内の1.8倍であった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 藤川茂昭,東山堅一,清水昌: "油脂の発酵生産と生産菌の形態変化"バイオサイエンスとインダストリー. 57・2. 797-798 (1999)
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[Publications] N.Kamada et al.: "Production of 8,11-cis-Eicosadienoic Acid by a Δ5 and Δ12 Desaturase-Defective Mutant Derived from the Arachidonic Acid-Producing Fungus Mortierella alpina 1S-4"J.Am.Oil Chem.Soc.,. 76・11. 1269-1274 (1999)
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[Publications] 清水 昌: "微生物によるビタミン類の製造研究"ビタミン. 73・12. 713-720 (1999)