1999 Fiscal Year Annual Research Report
PCB、DDTおよび有機スズが魚類の免疫系に及ぼす影響
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11876046
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
矢野 友紀 九州大学, 農学部, 教授 (90038266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 実樹 九州大学, 農学部, 助手 (50212080)
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Keywords | TBT / コイ / 食細胞 / 貪食活性 / 補体 / 顆粒球 / アクリジンオレンジ / FITC |
Research Abstract |
近年、深刻な環境問題となっている海洋の内分泌撹乱物質による汚染が、魚類の生体防御に与える影響を調べることを目的とした。魚類は哺乳類と同様に抗体などの抗原特異的免疫機構と、補体や食細胞などの非特異的免疫機構を備えているが、本年度は非特異的免疫機構に及ぼす影響を調べるための基礎的検討を行なった。非特異的免疫機構の中でも、好中球やマクロファージによる異物の貪食と補体C3による貪食の亢進作用は、体内に侵入した病原体の除去において中心的な役割を担う。これまで魚類の貪食細胞の活性測定には種々の変法が開発されてきたが、貪食細胞だけを特異的にカウントすることが困難であった。本研究では、コイ頭腎白血球の貪食活性を効率的に測定するため有効な方法について検討した。1つは、顆粒球だけを特異的に染色するアクリジンオレンジを用いた蛍光染色法であり、もう1つは、細胞内に貪食された標的異物だけを染色するFITC/トリパンブルー染色法である。この両者を組み合わせると、FITCで標識した異物(酵母)を貪食した顆粒球だけを、落射蛍光顕微鏡下で特異的にカウントすることが可能となった。本法はギムザ染色などによる細胞の同定における個人差や、調製した細胞の純度に影響されない点で従来法よりも優れている。本法を、有機スズ(TBT)に曝露したコイの貪食活性の測定に応用することにより、TBTによる貪食阻害作用を効率良く検定することが可能になった。
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[Publications] Nakao,M.,Mutruso,J.,Obo,R.,Fujiki,K.,Nonaka,M.,and Yano,T.: "Molecular cloning and protein analysis of divergent forms of the complement component C3 from a bony fish,the common carp (Cyprinus carpio)."European.Journal of Immunology. 30. 858-866 (2000)