1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11876059
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前田 照夫 広島大学, 生物物理学部, 助教授 (50144895)
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Keywords | 鶏 / 受精卵 / 環境ホルモン |
Research Abstract |
実験1では,鶏受精卵を用いた環境ホルモン評価法の開発を目的に,、鶏受精卵へのDES(環境ホルモンの一つとして挙げられている)投与(0(対照),0.01,0.1及び1mg)が胚の生存率,孵化率及び生殖巣の発育に及ぼす影響を検討した。その結果,1mg投与区の生存率及び孵化率は他の投与区及び対照区のそれらと比較して,有意に低い値であった。0.1及び1mg投与区において,遺伝的には雄であるにもかかわらず,右側の精巣が観察されず,左側に雌の卵巣重量とほぼ同じ重量の生殖巣を持つ個体(雌化した個体)が高率に観察された。これらの結果より,鶏受精卵へのDES投与は胚の生存性及び生殖巣の発育に影響を及ぼすことが明らかとなった。 実験2では,鶏受精卵を用いた環境ホルモン評価法の開発を目的に,DES投与(0(対照),0.01,0.1及び1mg)受精卵から孵化した雛の生殖巣を組織学的に検討した。その結果,対照区における遺伝的な雄では,左右の精巣が存在し,精巣の髄質には精細管が発達していた。一方,遺伝的な雌では,左側の卵巣のみが認められ,卵巣の髄質には多数の血管が観察された。また,実験1と同様に,高濃度DES投与区に認められた雌化個体(遺伝的には雄であり,右側の精巣が観察されず,左側の生殖巣のみ発育した個体)の生殖巣は卵巣様組織像を呈した。 実験1及び2の結果より,DESの投与は表現型において雄を雌化することが明らかとなり,環境ホルモンの生物学的評価に鶏受精卵が利用できると考えられた。 上記の両実験結果については,京都大学で開催される日本畜産学会第97回大会(2000年3月27日〜29日)においてポスター発表する予定である。
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