2000 Fiscal Year Annual Research Report
Cre-loxP系を応用した哺乳動物胚における新しい細胞系譜解析法の開発
Project/Area Number |
11876060
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
木村 穣 東海大学, 医学部, 教授 (10146706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 東海大学, 総合医学研究所, 助教授 (30287099)
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Keywords | Cre-loxP系 / EGFP / lacZ / 細胞系譜 / マウス / 着床前胚 / レポーター遺伝子 |
Research Abstract |
[序論] 母体の中で胚が成長し、しかも胚の著しい成長を伴う哺乳動物胚は、下等生物に比し、細胞系譜の解析がこれまで困難であった。本実験は、その解析にCre/loxP系を応用し、哺乳動物胚における細胞系譜解析の可能性を検討することを目的としたものである。 [結果/展望] 1)既にtesterマウス系統として、CETZ-17transgene[CAG(cytomegalovirus enhancer/chicken β-actin promoter),loxP/EGFP(enhanced green fluorescent protein)cDNA-CAT(chloramphenicol acetyltransferase)gene/loxP,lacZ(β-galactosidaseをコード)を内蔵]を有するtransgenic mouse(Tg)系統を得た。この系統では、着床前胚(特に8-cell期から胚盤胞期にかけて)及び着床後期胚に明確なEGFP発光を示す(Sato et al.,Mol.Reprod.Develop.53,34-44, 2000)。 2)CETZ-17Tg由来の着床前胚、例えば、2-cell胚あるいは8-cell胚の一つの割球の核にCre発現ベクターpCAG/NCre(CreのN末に核移行シグナルを有する)DNAを顕微注入した。翌日、発生した4-cell to 8-cell胚あるいは胚盤胞をβ-galactosidaseの基質であるX-Gal存在下で染色すると一部の胚細胞は、青染された。これは、Creの発現でCETZ-17 transgene内のloxPで挟まれたEGFP-CAT配列が除去され、その下流側にあったlacZ遺伝子がCAG promoterの影響で発現するようになったからと思われる。これにより、本系が細胞系譜解析に活用出来ることが判明した(Sato et al., Mol.Reprod.Develop.53,34-44,2000)。 3)本課題の一つは、胚盤胞の構成細胞(栄養外胚葉と内部細胞塊)の核にpCAG/NCre DNAを顕微注入し、注入された胚盤胞を仮親子宮に移植することにより、細胞の系譜をin vivoで追跡することであった。しかし、いくつかの試行錯誤を繰り返したが、胚盤胞細胞にはなかなかDNAが入りにくく、注入後1日目の後期胚盤胞をX-Gal染色した結果、全てにおいてlacZ活性がnegativeであった。おそらく、胚盤胞細胞は分割期胚に較べ、細胞のサイズが小さく、それがために、核にDNAをうまく注入出来なかったためと思われる。今後は、DNA注入後、胚全体にelectroporationをかけ、DNAを胚盤胞細胞に効率的に導入することを計画している。
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Research Products
(1 results)