1999 Fiscal Year Annual Research Report
耐塩性植物創製をめざした微生物酵素遺伝子の探索および利用・開発
Project/Area Number |
11876070
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
森 信寛 鳥取大学, 農学部, 助教授 (30127469)
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Keywords | 第4級アンモニウム化合物 / コリン / グリシンベタイン / γ-ブチロベタイン / トリメチルアミノ-1-ブタノール |
Research Abstract |
γ-ブチロベタイン生合成酵素を探索するため初めにトリメチルアミノ-1-ブタノール(TMAB)を炭素源,窒素源とする培地を用いてTMAB分解菌のスクリーニングを行った.研究室保存の糸状菌(Fusarium属,Rhizopus属,Aspergillus属,Keratinomyces属)が良好な育成を示した.また,190箇所の土壌サンプルから約400菌株の細菌を分離し,生育良好な菌として30菌株を選択した.選抜した糸状菌,土壌分離細菌の無細胞抽出液を調製し,TMAB分解酵素活性(NAD依存性脱水素酵素,PMS依存性脱水素酵素;酸化酵素)の検出を行った.NAD依存性脱水素酵素活性は土壌からの分離菌6株に強い活性が見いだされたがPMS依存性脱水素酵素活性はどの菌株にも検出できなかった.さらに,TMAB酸化酵素活性はFusarium属糸状菌,分離菌6株に強い活性が存在していた.NAD依存性脱水素酵素精製のための予備的検討といして,無細胞抽出液を用いて酵素活性のpH安定性を検討し,使用緩衝液・SH基保護剤を決定した. 一方,グリシンベタイン生合成酵素としてNAD依存性コリン脱水素酵素の探索を行った.コリン酸化に関与する酵素としてコリン酸化酵素とPMS依存性コリン脱水素酵素が知られている.スクリーニングにあたっては,これらの酵素生産菌を排除するため,新たにアルカリ条件下(pH10.2)でコリンを炭素源,窒素源とした培地に生育できる菌の分離を行い,14株を取得した.これらの菌は形態学的観察から放射菌に属するものと考えられる.分離菌のほとんどは菌体反応において反応液中にコリンの代謝産物であるベタインアルデヒドを生成していた.これは,アルカリ条件下で作用する新規なコリン代謝系酵素の存在を示唆するものである.
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