2000 Fiscal Year Annual Research Report
水チャンネル蛋白アクアポリンの個体維持における役割の検索
Project/Area Number |
11877001
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
高田 邦昭 群馬大学, 医学部, 教授 (20129290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 健史 群馬大学, 生体調節研究所, 助手 (00261868)
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Keywords | 水 / アクアポリン3 / 上皮 / MDCK細胞 / 蛍光抗体法 / イムノブロット法 / 浸透圧 |
Research Abstract |
アクアポリンは生体膜の水チャンネルで,水や一部の低分子物質の生体膜通過に関与する膜蛋白である.原核生物から植物,動物にまでわたって広く分布し,多くのアイソフォームが様々な部位に様々な程度に発現しているが,その生物学的意義や調節機構には不明な点が多い.アクアポリン3は腎臓の集合管にみられ,アクアポリン2と協同して働くことにより原尿からの最終的な水の再吸収に関与していると考えられる.我々はこのアクアポリン3の特異抗体を用いて,これが腎盤,尿管,膀胱,尿道など尿路上皮,体表をおおう表皮,口腔,食道,胃などの上部消化管上皮,結腸などの下部消化管上皮,鼻腔,気管,気管支などの気道に広く分布するのを見出した.これらの発現部位では,高浸透圧の液体や空気に接することにより水を失いやすい環境にある.蛍光抗体法による観察でアクアポリン3は,上皮細胞の腔面側ではなく,血管のある結合組織側に接する側の膜ドメインや細胞に局在している.以上の結果からアクアポリン3は,体内からこれらの上皮細胞へ水を供給する作用をしていて,その発現は浸透圧により調節されているのではとの仮説をたてた.これを検証するためにMDCK細胞に塩化ナトリウムやラフィノース添加による高張処理をして,アクアポリン3蛋白の量をイムノブロット法ならびにCCDカメラを用いた半定量的蛍光抗体法により検討した.その結果,アクアポリン3蛋白が高浸透圧処理により増加するのが判明した.
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[Publications] Matsuzaki T: "An anti-peptide antibody that recognized unexpected protein-A case report."Acta Histochem Cytochem. 33. 361-365 (2000)
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[Publications] Suzuki T: "Polarized distribution of Na^+-dependent glucose cotransporter SGLT1 in epithelial cells."Acta Histochem Cytochem. 33. 159-162 (2000)
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[Publications] 高田邦昭: "遺伝子工学を用いた形質膜の機能解析"組織培養工学. 26. 170-171 (2000)
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[Publications] 高田邦昭: "未知の抗体を使っての染色の進め方"組織細胞化学2000(日本組織細胞化学会編),学際企画,東京. 80-87 (2000)