1999 Fiscal Year Annual Research Report
ハムスター卵管上皮細胞と受精前精子の経時的微細形態変化の観察
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11877004
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Research Institution | Ehime College of Health Science |
Principal Investigator |
富永 彬生 愛媛県立医療技術短期大学, 臨床検査学科, 助教授 (90036450)
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Keywords | ハムスター / 受精 / 精子 / 卵管 / 粘液細胞 / 卵管上皮 |
Research Abstract |
平成11年度はハムスターの発情時間帯初期に交尾を行わせ交尾後3〜4時間の同一個体の卵管各部を準超薄切片と電顕像により比較検討した。 交尾開始から3〜4時間後に子宮の一部と卵管を2.5%GLA溶液に浸漬、固定液中で卵管膨大部、峡部および子宮-卵管移行部に区別して細断、その後通常の電顕試料作成を行った。 交尾後4時間の同一個体の卵管各部の準超薄切片では峡部及び膨大部に精子は認められなかった。 これらに対し子宮-卵管移行部では、子宮腔内へ弁状に突出する卵管端の粘膜ヒダの間隙や、子宮壁内を湾曲しながら貫く部位の卵管(卵管子宮壁部)の粘膜ヒダの間隙には多くの精子が認められた。特に粘膜ヒダの一部に陰窩状の深い間隙が見られ、多数の精子がこの部位に侵入することが認められた。 電顕観察では、膨大部や峡部の分泌細胞において顆粒の放出は殆ど認められないが、移行部では盛んに分泌が行われていることが推測された。また移行部粘膜に見られる陰窩状の細隙に侵入した精子は陰窩の最深部の細胞に垂直に頭部を接し、この部位の上皮細胞から精子に対しなんらかの伝達が行われていることが示唆された。 以上の事から、雌性生殖道内に放出されたハムスターの精子は子宮-卵管移行部粘膜内の陰窩状の細隙を形成する分泌細胞や最深部の細胞から何等かの伝達を受けながら数時間滞在し、この間に受精能を獲得、排卵時に合わせて膨大部に進み受精におよぶことが示唆された。 なお、これらの研究結果は平成12年6月2〜4日に網走市で行われる第41回日本哺乳動物卵子学会で『ハムスター卵管上皮と受精前精子の形態』の演題名で発表する。
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