2000 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光標識グルコースを用いた単一細胞のグルコース取り込み・機能連関の解析
Project/Area Number |
11877005
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
稲垣 暢也 秋田大学, 医学部, 教授 (30241954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀本 直幹 九州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (40243927)
山田 勝也 秋田大学, 医学部, 助手 (40241666)
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Keywords | グルコース取り込み / グルコーストランスポーター / 単一細胞 / 膵β細胞 / インスリン分泌 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / グルコースセンサー / fura-2 |
Research Abstract |
従来、細胞膜を介したグルコース輸送ならびに組織のグルコース利用に関する研究は、主に放射性標識したグルコース誘導体を用いて行われてきた。これらの方法は優れた定量性をつが、単一細胞レベルでの分析が困難であった。申請者らは単一細胞におけるグルコース取り込みのリアルタイム計測を行う目的で、2-デオキシグルコースに蛍光標識した2-(N-(nitrobenz-2-oxa-1,3-diazol-4-yl)amino)-2-deoxyglucose(2-NBDG)を用いた。その結果、まず哺乳動物細胞のグルコーストランスポーター(GLUT)を介して、グルコースと類似したキネティクスをもって細胞内に取り込まれること初めて明らかにした。次に2-NBDGとCa^<2+>指示薬であるfura-2を用いることにより、ラット単一膵島細胞におけるグルコースの取り込みおよび細胞内Ca^<2+>濃度の変動のリアルタイム計測を試みた。その結果、高グルコース刺激によりインスリン分泌を示すようなグルコースセンサー機能を有するGLUT2発現膵β細胞は、グルコース刺激に対して細胞内カルシウム濃度上昇を示すと同時に、α細胞に比べてはるかに多くの2-NBDGを取り込むことが明らかになった。これらの結果は、単一細胞レベルでグルコース取り込みと細胞機能の同時評価を行った国内外で初めての試みであり、J.Biol.Chem(275:22278,2000)に掲載された。本研究ではさらに、代謝阻害剤を用いて、グルコース刺激によるインスリン分泌にはグルコースの取り込みとそれに続く代謝が重要であるというグルコース代謝説を直接支持する結果も得た。現在、2-NBDGを用いて、現在未だに十分に解明されていない神経活動とグルコースの取り込みとの相関を、単一細胞レベルあるいはスライスで観察を試みている。
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Research Products
(9 results)
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[Publications] Yamada,K.,Nakata,M.,Hoirimoto,N.,Saito M,Matsuoka H,and Inagaki,N.: "Measurement of glucose uptake and intracellular calcium concentration in single, living pancreatic β-cells."J.Biol.Chem.. 275. 22278-22283 (2000)
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[Publications] Zhao,L.-X.,Zhou,C.-J.,Tanaka,A,Nakata,M.,Hirabayashi,T. et.al.: "Cloning, characterization and tissue distribution of the rat ATP-binding cassette (ABC) transporter ABC2/ABCA2."Biochem.J.. 350. 865-872 (2000)
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[Publications] Zhou,C.-J.,Zhao,L.-X.,Inagaki,N.Guan,J.-L.,Hirabayashi,T. et.al.: "ATP-binding cassette transporter ABC2/ABCA2 in the rat brain : a novel mammalian lysosome-associated membrane protein and a specific marker....."J.Neurosci.. 21. 849-857 (2000)
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[Publications] Fujita, H., Matsuura, T., Yamada, K., Inagaki, N., and Kanno, I.: "A sealed cranial window system for simultaneous recording of electrical, blood flow, and optical signals in rat barrel cortex."J.Neurosci.Meth.. (in press). (2001)
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[Publications] 稲垣暢也: "膵β細胞イオンチャネルの分子生物学."Diabetes Frontier. 11. 105-111 (2000)
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[Publications] 稲垣暢也: "ABCトランスポーターと糖代謝."バイオサイエンスとインダストリー. 58. 248-251 (2000)
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[Publications] 稲垣暢也: "スルホニル尿素作用の分子機構."内分泌・糖尿病科. 11. 508-515 (2000)
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[Publications] 稲垣暢也: "インスリン分泌不全の分子機構."糖尿病. (印刷中). (2001)
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[Publications] 山田勝也,中田正範,稲恒暢也: "単一膵島細胞細胞におけるグルコース取り込みと細胞内カルシウムの観察."金原出版、東京(印刷中). (2001)