1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11877014
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
粟生 修司 九州大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40150908)
|
Keywords | 視床下部外側野 / 空間学習 / 繊維芽細胞成長因子 / レプチン / オレキシン / 糖尿病モデル動物 / 寿命 / OLETFラット |
Research Abstract |
寿命/老化は肥満の有無ならびに糖代謝や性ホルモン分泌動態と密接な関連があり、学習記憶機能とも相関する。また、老化と学習記憶過程において、ともにカルシウム代謝が重要な役割を果たす。さらにこれらの事象すべてに性差が存在し、発達期の性ホルモン環境が重要な役割を果たす。本年度は実験動物としては糖尿病/肥満モデル動物を主として用い、寿命促進効果を示すカロリー制限で活動が促進する視床下部外側野外側野(LHA)を主な解析対象とし、LHA機能に関連する信号分子の糖代謝ならびに学習記憶機能と寿命の関連を調べた。 1)糖尿病モデル動物であるOLETFラットの学習機能を調べると、空間学習障害が認められた。この学習障害に対して線維芽細胞成長因子の活性フラグメントを4ヶ月間慢性皮下投与すると学習障害が改善した。また7ヶ月の投与期間中の生存率が向上した。 2)肥満/糖尿病モデル動物のZuckerラットおよびdb/dbマウスはそれぞれレプチン受容体の欠損および変異が原因であり、思春期の性成熟も障害されている。これらの動物は空間学習障害を示し、海馬長期増強も減弱あるいは消失した。 3)ネコ視床下部外側野を電気刺激すると瞬目反射の古典的条件付けを著明に促進した。 4)視床下部外側野ニューロンが産生しているオレキシンを側脳室に投与すると受動的回避学習を促進し、空間学習を障害し、海馬スライス標本における長期増強も抑制した。 5)外因性環境化学因子でエストロゲン様物質であるビスフェノールAを胎生期および授乳期に暴露すると受動的回避学習およびオープンフィールド試験における行動の性分化が抑制され、離乳期以降、雌で体重が減少した。
|
-
[Publications] Woody CD: "Identification of differently timed motor components of conditioned blink responses."Brain Research. 836. 79-89 (1999)
-
[Publications] 粟生修司: "摂食行動の基礎"心身医学. 39. 99-109 (1999)
-
[Publications] 粟生修司: "食欲の生理・生化学"からだの科学. 207. 28-34 (1999)
-
[Publications] 李学良: "OLETFラットの学習障害と[Ala]16-aFGF(1-29)による改善"OLETFラット研究会記録集. 最終巻. 101-104 (1999)
-
[Publications] 粟生修司: "心理学辞典"有斐閣. 290 (1999)
-
[Publications] 粟生修司: "心身医学用語辞典"医学書院. 1086 (1999)
-
[Publications] Aou,S.: "Thermotherapy: Principle and Practice--Application and neoplasia,Inflammation,and Pain."Springer- Verlag (印刷中). (2000)