1999 Fiscal Year Annual Research Report
T細胞の活性化におけるNa^+イオンおよびNa^+イオン・チャンネルの役割
Project/Area Number |
11877059
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10156119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
頼 仲方 熊本大学, 医学部, 助手 (90244110)
入江 厚 熊本大学, 大学院・医学研究科, 助手 (30250343)
千住 覚 熊本大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50274709)
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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Keywords | アミロライド / Na^+チャンネル / CD4^+T細胞 / MHC / ペプチド抗原 / 抗原提示細胞 / 副刺激分子 / メモリーT細胞 |
Research Abstract |
申請者らはNa^+を含まない培養液中では、抗原刺激によるエフェクターT細胞の増殖応答が消失することを見出し、本研究ではその不応答の機序の解明を目的に以下の実験を行った。 1.ヒトCD4^+T細胞クローンをアミロライドで処理した。その結果抗原刺激に対する増殖応答が抑制されたので、ヒトT細胞にはある種の上皮細胞に発現するアミロライド感受性Na^+チャンネル(ENaC)が存在すると考えた。すでにENaCはB細胞とは発現することが報告されている。 2.そこでRT-PCR法によりヒトCD4^+T細胞クローンにおけるENaC遺伝子の転写の検出を試みた。しかし、T細胞にはENaCの発現は検出できなかった。 3.Na^+イオンを欠損する培養液中での、抗CD3抗体によるJurkat細胞の活性化を試みたところ、CD3分子、ζ鎖およびZAP-70などのシグナル伝達に関わる蛋白質のチロシリン酸化は、通常の培養液中で行ったコントロール細胞のものと同様に認められた。 以上より、T細胞の活性化におけるNa^+チャンネルの作用機序を探索するのは困難と判断した。 いっぽうで、申請者らは新たにIL-2存在下に長期培養したCD4^+T細胞クローンが、抗CD3抗体によるTCR刺激およびCD28を介した副刺激に不応答性となるが、抗原提示細胞により提示されたHLAクラスII・ペフチド複合体にはむしろ過剰に反応を示すことを発見した。そこで現在は、この研究に力を注ぎ、T細胞のメモリー形成にもつながるT細胞の長期生存機構の解明を試みている。
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Research Products
(16 results)
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[Publications] Yun,C.: "Augmentation of immune response by altered peptide ligands of the antigenic peptide in human CD4^+T cell clone reating to TEL/AML1 fusion protein."Tissue Antigens. 54. 153-161 (1999)
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[Publications] Yamasaki,K.: "HLA-DPB1*0501-associated optico-spinal multiple sclerosis: clinical, neuroimaging and immunogenetic studies."Brain. 122. 1689-1696 (1999)
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[Publications] Tanaka,Y.: "Identification of peptide superagonists for a self-K-reactiveCD4Na^+T cell clone, using combinatorial peptide libraries and mass spectrometry."J, Immunol.. 162. 7155-7161 (1999)
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[Publications] Ito,H.: "Analysis of T-cell responses to the β2-glycoprotein I-derived peptide libraly in patients with anti-β2-glycoprotein I antibody-associated autommunity."Human Immunol.. (in press).
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[Publications] Fukazawa,T.: "Both the HLA-DPB1 and-DRB1 alleles correlate with risk for multiple sclerosis in Japanese: Clinical phenotypes and gender as important factors."Tissue Antigens. (in press).
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[Publications] 尹 忠秀: "アナログ抗原ペプチドを用いた抗腫瘍免疫の増強"臨床免疫. 32(2). 190-197 (1999)
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[Publications] 西村泰治: "HLA分子と結合ペプチドの構造"Diabetes Frontier. 10(2). 267-275 (1999)
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[Publications] 三野原元澄: "多発性硬化症"臨床検査. 43(13). 1647-1655 (1999)
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[Publications] 西村泰治: "T細胞抗原受容体におけるリガンドと伝達シグナルの多様性:抗原の質的変化が応答に及ぼす影響"細胞工学・特集「免疫システムを支える抗原情報伝達の多様な分子機構」. 19(2). 228-238 (2000)
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[Publications] 西村泰治: "CLIP置換インバリアント鎖遺伝子を利用したHLAクラスII・ペプチド複合体発現細胞ライブラリー;腫瘍抗原同定への応用"分子細胞治療 特集「がん免疫療法の最前線」. 1(1). 14-21 (2000)
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[Publications] 西村泰治: "T細胞に抗原を認識させる主要組織適合抗原の構造と機能"蛋白質・核酸・酸素. (in press).
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[Publications] 西村泰治: "医科遺伝学「免疫遺伝学」"南江堂(東京). 32(110-141) (1999)
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[Publications] 西村泰治: "医科遺伝学「免疫病の遺伝学」"南江堂(東京). 16(251-266) (1999)
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[Publications] 西村泰治: "分子予防医学「MHCとペプチド」"医学書院(東京). 12(324-335) (1999)
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[Publications] 尹 忠秀: "Annual Review免疫2000「抗原ペプチドのアナログによる抗腫瘍免疫の増強」"科学評論社(東京). 9(280-288) (1999)
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[Publications] 西村泰治: "11巻現代医学の基礎「感染と生体防御」14「ワクチン開発の新戦略」"岩波書店(東京). 23(221-243) (2000)