1999 Fiscal Year Annual Research Report
低カルニチン血症におけるカルニチン輸送担体の突然変異の頻度とその健康リスク
Project/Area Number |
11877062
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
小泉 昭夫 秋田大学, 医学部, 教授 (50124574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野崎 潤一 秋田大学, 医学部, 助手 (90302265)
嘉陽 毅 秋田大学, 医学部, 講師 (40272033)
和田 安彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (10261653)
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Keywords | 全身性カルニチン欠損症 / OCTN2 / 遺伝疫学 / 幼児突然死 / ヘテロ保因者 / 心肥大 |
Research Abstract |
我々は全身カルニチン欠損症の家系を用い、遺伝子座を世界で始めて同定するとともに一疾患単位であることを証明してきた。さらに、OCTN2が原因遺伝子であることを見い出した。このような研究の蓄積の地平にたち、我々は全身性カルニチン欠損症の原因となるOCTN2遺伝子異常についての遺伝疫学的検討を行った。 [方法](1)遺伝疫学的検討:秋田県在住の973名の被検者から許可を得て健診時に血清のカルニチンを測定した。測定値は、男子が50.4±7.6μM(n=557名)であり女子では40.2±7.2μM(n=416名)であった。これら被検者の内から、低値の5%にあたる男子38μM、女子28μMをスクリーニング値としてこれら値以下のケースについて血清カルニチン値を測定し上記カットオフ値を連続して示した、男子19名、女子17名についてOCTN2の全エクソンにおける配列を決定した。またこれら集団において心電図、血中脂質、肝機能、血圧、尿所見とカルニチン値、OCTN2の異常に関する検討を行った。 (2)家系調査:全身性カルニチン欠損症の患児の家系調査を行い、OCTN2ヘテロ保因者における健康指標の異常の有無を検討した。さらに、患児同胞に幼児期に突然死を経験しているため、これら死亡症例においては臍帯を用い遺伝子診断を行った。 [結果]我々は、9名のOCTN2突然変異を見い出した。そのうち3chromosomesはTrp283Xを有し、4chromosomesはSer467Cysを有し、one chromosomeはTrp283CysおよびMet179Leuを有していた。このうち、,最後の変異を除きカルニチンの輸送異常をともなっており、我々の検討した地域での全身性カルニチン欠損症の患者の頻度は、4万人に1名と予想された。また、5家系の心エコー検査で健康リスクとしてヘテロ保因者が加齢により心肥大のリスクが高まることが判明した。また、患児同胞の2家系3名の突然死症例は、いずれも患児と同様の変異をもっていることが証明され、無治療で放置された場合突然死のリスクが高いことが判明した。
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Research Products
(1 results)