1999 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウム・カリウム欠乏による生命維持機構の破綻と性ホルモンの関係
Project/Area Number |
11877066
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
千葉 百子 順天堂大学, 医学部, 助教授 (80095819)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 弘美 順天堂大学, 医学部, 助手 (20255657)
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Keywords | マグネシウム欠乏 / カリウム欠乏 / 生命維持機構 / 生存率 / 性差 / 性ホルモン / テストステロン / エストロゲン |
Research Abstract |
ヒトは男性より女性が長寿である。実際に、虚血性心疾患等の循環器系疾患の罹患率は女性より男性に多い。循環器系疾患と関係の深いマグネシウム及びカリウム(Mg-K)欠乏状態を雌雄マウスに惹起し、性差を観察した。その結果、若齢マウス(6〜8週齢)で行った実験では、Mgのみの欠乏食では雄雌の死亡率に差は認められなかったが、Mg-K欠乏食では、雄は7日後に死亡する個体が出現し始め、20日後には全ての個体が死亡した。雌は20日後に全例が生存しており、Mg-K欠乏による雄雌の死亡率の差に性差が認められた。正常マウスの血清中Mg、K濃度に性差は無いが、Mg-K欠乏食を与えたマウスでは赤血球や肝臓などでこれらの元素の低下率が雌より雄が大であった。欠乏マウスでは肝臓のカルシウム、マンガン、銅等必須元素が低下し、対照に対する低下率も雌より雄の方大であった。そこで性ホルモンの関わりを観る目的で、雄では(1)無処置、(2)精巣摘出群、雌では(3)無処置、(4)卵巣結紮群を作成し、手術2週間後に各群マウスを2分し、片方に通常食を、他方にMg-K欠乏食を3週間与えた(1群5〜6匹)。その結果、雄の血清中テストステロン(T)濃度は平均値で(1)の正常食群852ng/dl、Mg-K欠乏群49ng/dlであり、Mg-K欠乏で極端に低下した。(2)群では当然ながらT濃度は検出限界以下であった。雌の血清中エストロゲン濃度は(3)の正常食群で13.36pg/ml、Mg-K欠乏で14.4pg/mlと差がなく、(4)の正常食群11.14pg/ml、Mg-K欠乏群が8.85pg/mlと最低であったが、手術の適確性に検討の余地が残った。しかし、性器摘出をしない無処置の雌雄マウスでMg-K欠乏食を与えると雄では血中テストステロン濃度が著明に低下するが、雌では血中エストロゲン濃度が変化しないと言う実験結果はMg-K欠乏における恒常性維持機能における性差に性ホルモンの関与を示唆するものであり、大きな成果である。Mg-K欠乏に対する生命維持機構は雌より雄の方が破綻しやすい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 千葉百子 渡辺弘美 他3名: "安定同位体26Mgを用いた体内マグネシウム動態の検討"日本分析化学会第48年会講演集. 185 (1999)
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[Publications] 千葉百子 渡辺弘美 他1名: "マグネシウム・カリウム欠乏食給餌マウスにおける血中及び臓器中ミネラル濃度-性器摘出の効果について-"日本衛生学雑誌. 54(1). 107 (1999)
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[Publications] Inaba Y. Watanabe H. Chiba M.: "High temperature and Mg/K deficiency as a model of SUDS among Thai people Biometeorology and Urban Climatology at the Turn of the Millennium"Biometeorology and Urban Climatology at the Turn of the Millennium. 63-64 (1999)
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[Publications] 千葉百子 渡辺弘美 他3名: "Mg/K欠乏状態のマウスのMg動態"第19回日本マグネシウム研究会講演要旨集. 18 (1999)
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[Publications] 千葉百子 渡辺弘美 他1名: "Effects of magnesium deficiency and heat stress on elements and lipid peroxides in mice"理研シンポジウム 生体微量元素'99講演集. 13-14
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[Publications] Chiba M: "Magnesium and potassium deficiency as a possible trigger of sudden death"International Commission of Occupational Health. (予定). (2000)
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[Publications] Chiba M.: "Response of Mg status in various organs of Mg-deficient mice"9^<th> International Magnesium Symposium. (予定). (2000)