1999 Fiscal Year Annual Research Report
心筋梗塞化におけるコネクシン43分解の病態生理学的研究と早期梗塞診断法の開発
Project/Area Number |
11877078
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 謙一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40166947)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋 利彦 山口大学, 医学部, 助手 (60304474)
|
Keywords | 虚血 / 再潅流 / ネクシン43 / 心筋梗塞 / 免疫組織 / カルパイン / 不整脈 / 突然死 |
Research Abstract |
1.虚血心筋細胞内情報伝達系と細胞死、細胞障害に関する研究:ラット潅流心を用い、再潅流中に生成する一酸化窒素(NO)がProtein Kinase C(PKC)isoformを活性化し、収縮不全を軽減することを見出した。また狭心症発作後に心筋梗塞が起こりにくい現象のモデルであるIschemic Preconditioningに関与するPKC isoformを同定した。さらに、心筋由来培養細胞を用い、虚血再潅流によりPKC-ζ-PI3 kinase-MAP kinase-c-fosのカスケードが活性化し、アポトーシスによる細胞死を抑制することを見出した。また、MAP kinase family酵素の新規の活性化機構の一端を解明した。 2.ラット潅流心を用い、虚血後再潅流の経過につれてコネクシン43が、最初、脱燐酸化によると思われる荷電変化により移動度が早くなり、続いて分解されることを見出した。また、免疫組織化学法を用いて、梗塞周辺でコネクシン43の免疫染色性が低下することを確認した。心筋細胞が連絡し電気的信号が伝わる介在板ギャップジャンクションのイオンチャンネルを構成するコネクシン43の分解は不整脈の原因となる可能性が高い。組織学的に明らかな虚血特異的な病変が出現する以前に当たると思われる時期の、この免疫組織学的変化は、梗塞早期のひとつの指標と成り得るばかりでなく、多くの心臓性突然死において、重要な関与をする不整脈の間接的証拠でもある。 3.今後、カルパイン、プロテアソーム等、分解に関与すると予想されるプロテアーゼに対する阻害剤を用いて、動物モデルで心筋梗塞化におけるコネクシン43の分解のメカニズムを解明したい。また、培養心筋細胞を用いて、その詳細な分枝機構を解明したい。さらに、心臓性突然死症例をコネクシン43等を用いた免疫組織化学法により検討し、早期虚血診断法としての可能性を検討する予定である。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] Shama,K.M.: "Transient up-regulation of myotonic dystrophy protein kinase-binding protein, MKBP, and HSP27 in the neonatal myocardium"Cell Structure and Function. 24. 1-4 (1999)
-
[Publications] Yoshida,K.: "Nitric oxide mediates proein kinase C isoform translocation in rat heart during postischemic reperfusion"Biochimica et Biophysica Acta. 1453. 230-238 (1999)
-
[Publications] Harada,K.: "Translocation and down-regulation of protein kinase C-α,-β,and-γ isoforms during ischemia-reperfusion in rat brain"J Neurochem. 72(6). 2556-2564 (1999)
-
[Publications] Yoshida,K.: "Translocation of HSP27 and MKBP in ischemic heart"Cell Structure and Function. 24. 181-185 (1999)
-
[Publications] Ueyama,T.: "Emotional stress induces immediate-early gene expression in rat heart via activation of alpha- and beta-adrenoceptors"Am J Physiol,. 277. H1553-H1561 (1999)