1999 Fiscal Year Annual Research Report
p53欠失/変異食道癌・肺癌に対するアデノベクターを用いた癌遺伝子治療
Project/Area Number |
11877084
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
永田 正男 神戸大学, 医学部・附属病院, 講師 (70294220)
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Keywords | 食道癌 / 原発性肺癌 / 遺伝子治療 / アデノウイルスベクター / p53 |
Research Abstract |
E1B55K欠失アデノウイルスは正常細胞に感染させると癌抑制遺伝子p53が活性化されウイルスの増殖が抑制されるが、p53欠失/変異癌細胞にはp53が働かないためウイルスが増殖し細胞死を誘導でき、癌細胞のみ障害する理想的な遺伝子治療が可能と考えられる。本研究助成によりE1B55K欠失AxE1AdBウイルスの食道癌に対する有効性を原発性肺癌と食道癌で検討を行った。 1.p53に変異のある培養ヒト食道扁平上皮癌細胞TT、TTnおよびEC-GI-10にAxE1AdBをMOI1〜50にて感染させ細胞死の状態をcrystal violetにて検討した。感染7日間培養後もTTおよびTTn細胞はMOI50にても生存していたが、GI-10細胞はウイルス量に比例して死滅した。従って、in vitroにおいてはAxE1AdBウイルスは同じ食道扁平上皮癌であっても感受性に違いがあることが示唆された。肺癌細胞においてはp53変異のある腺癌、小細胞癌、扁平上皮癌のいずれににおいても細胞死が確認できた。 2.C17-Scidマウスへ皮下移植を行い直径が約10mmにまで発育したTTn腫瘍およびEC-GI-10腫瘍に1×10^8PFUのAxE1AdBの注入を行ない、治癒効果について検討を行った。TTn移植マウスでは腫瘍の縮小効果を認めず生存率もPBS処置群と比べて延命効果を認めなかったが、EC-GI-10移植マウスでは著明な腫瘍の縮小効果と有意な生存日数の延長が認められた。 【結論】原発性肺癌においてはp53変異があればE1B55K欠失アデノウイルスにより細胞傷害が認められたが、食道癌ではp53変異があっても細胞傷害性に感受性の違いがあり、感受性のある腫瘍に対してはvitroおよびvivoにおいても治療効果が確認できた。原発性肺癌のin vitro実験に関しては発表を既に行なったが、in vivo実験を現在継続して行っている。また、食道癌に関しては感受性の違いについて平成12年度も追加実験の予定である。
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Research Products
(1 results)