1999 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害患者における腎尿路系ウィルス感染の検討 -腎疾患病態への関与の可能性-
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11877176
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安東 明夫 大阪大学, 健康体育部, 教授 (00028656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 圓裕 大阪大学, 医学部, 助手 (00223305)
守山 敏樹 大阪大学, 健康体育部, 講師 (30283815)
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Keywords | 持続感染 / BK virus / JC virus / 再活性化 / 免疫能低下 / SLE |
Research Abstract |
ヒト・ポリオーマウイルスにはBK virus (BKV) と JC virus (JCV) が知られており、これらのウイルスは初感染後、腎に持続感染すると考えられている。免疫力の低下などにより再活性化し尿中に出現するとされ、近年PCR法により尿中ウイルスの検出が可能となったことから、疾患とウイルスの活性化の関連が注目されている。本研究では健常人、腎疾患患者の尿中ポリオーマウイルス遺伝子の陽性率をPCR法により検討した。健常人では尿中BKV陽性率は67例中12例(17.9%)、尿中JCV陽性率は67例中21例(31.3%)であった。BKV、JCVとも陽性率に性差は認めず、年齢が高くなるとともに陽性率の増加傾向を認めた。腎疾患患者群の尿中BKV陽性率は62例中16例(25.8%)、尿中JCV陽性率は48例中22例(45.8%)であり、健常人と比較し尿中ポリオーマウイルスの検出頻度は高い傾向が見られたが、現時点では統計学的有意差には達しなかった。症例数の多いIgA腎症においてBKV、JCV陽性率は各々29例中7例(24.1%)、18例中6例(33.3%)であり、健常人と有意な差は見られなかった。SLEや間質性腎炎では高い陽性率を示したものの症例数が少なく有意差は認められなかった。 免疫能が低下すると、ウイルスが再活性化される事が知られており、SLE患者ではステロイド、免疫抑制薬などの薬剤の長期服用により免疫能が低下している症例が含まれると考えられ、ウイルスが再活性化され尿中排泄率が高値を示したと考えられる。間質性で高値を示した原因は不明であるが、ウイルスが腎随質に持続感染していることを考えると疾患の発症と関連がある可能性があり今後さらに数を増やしての陽性率と疾患の関連性を明らかにする必要があると思われる。
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