1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11877218
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田仲 曜 東海大学, 医学部, 助手 (20266414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼島 宏 東海大学, 医学部, 講師 (90204859)
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Keywords | 食道 / 老化 / 一酸化窒素 / 食道癌 |
Research Abstract |
平成11年度は,ヒト食道の老化や病態にNO(nitric oxide)が関与しているか否かを証明する第一段階として,ヒト食道でのNOS(nitric oxidesynthase)発現を検討した.外科的に切除された食道癌手術症例で通常の病理標本に加えて,代表症例で組織mRNAを抽出し,免疫組織化学的および遺伝子発現レベルでiNOS(inducible nitric oxidesynthase)発現を解析した。平均年齢61.3才の非癌部食道上皮では,基底層・傍基底層に軽度のiNOS発現を認めた.癌組織では87.7%(57例中50例)の症例で腫瘍組織全体にびまん性にiNOSの過剰発現を認めたが,病期などの臨床病理学的項目別での有意差は認められなかった.RT-PCR法を用いた検討では,癌組織だけでなく非癌食道上皮においてもmRNAレベルでのiNOS遺伝子発現が確認された.粘膜癌の癌組織内でもiNOS過剰発現が認められたことから,食道癌においては発癌の極く初期の段階からiNOSが発現されていると考えられた.さらに非癌粘膜での発現からNOの存在が発癌危険因子である可能性も示唆された.NOの過剰かつ持続的な暴露がDNA傷害やアポトーシス制御を介して食道偏平上皮癌細胞の遺伝子変化や増殖にiNOSが関与していることが示唆された.食道の老化について検討するために,60週ラットを飼育中である.また,N-Methyl-N-anylnitrosamine(以下 AMN)投与によるラット発癌モデルを作成中である.平成12年度においては,これらのラットと老齢を含む各週齢ラット(5週,10週,20週,40週)を用いて,食道粘膜の組織学的変化とNOSの発現について詳細に検討する予定である.
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Research Products
(1 results)