2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11877218
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
田仲 曜 東海大学, 医学部, 助手 (20266414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼島 宏 東海大学, 医学部, 講師 (90204859)
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Keywords | 食道 / 老化 / 食道癌 / 一酸化窒素合成酵素 |
Research Abstract |
平成12年度は平成11年度の研究を基に,ラットを利用し食道の老化と発癌について検討した.非癌老齢群としてSDラットをそれぞれ,5,10,20,40,60週まで飼育した.また,N-Methyl-N-anylnitros amine(以下AMN)を投与し発癌させたSDラットを飼育した.犠牲死させてすみやかに食道を摘出しその組織像とiNOSの存在部位について詳細に検討した. HE染色における組織学的検討では,粘膜の厚さ,食道腺の数,粘膜層構造,筋層の厚さ,外膜の性状,などに個体差以上の変化は認められなかった.iNOSの免疫組織化学的検討では,40週令以下のラットでは,iNOSが発現している細胞は認められなかったが,60週令ラットにおいては,8/8匹(100%)に有棘細胞層にiNOSが過剰発現している細胞が散見された.発癌ラットでは,癌組織においてiNOSの過剰発現がみとめられ,さらに非癌部の基底層・傍基底層においてもびまん性にiNOSの発現が認められた.以上の結果を平成11年度の研究結果をふまえ考察すると,iNOSの発現は老化によっても起こりうるが,その発現程度は限局的かつ散発的なものであると考えられた.基底層・傍基底層の細胞増殖によって,散発的にiNOSを発現している細胞は有棘層へと押し上げられて,最終的には脱落してしまうため、老化ラットで見られるiNOS発現細胞では癌化に直接影響を及ぼしにくいものと考えられた.一方,発癌ラットの非癌上皮においては,食道粘膜の増殖帯である基底層・傍基底層の細胞でiNOSが発現しており,持続的且つびまん性である.ゆえに発がん物質を投与された食道粘膜は基底層・傍基底層でiNOSの発現をきたすことで持続的に高濃度のNOに暴露されることとなり癌化の一因となっている仮説が成り立つ.この仮説は,食道癌の多発性の説明に有用と考えられた. 平成13年度は,発癌物質投与の期間と非癌上皮におけるiNOSの発現について検討する予定である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Osamu Chino: "Clinicopathological studies of esophageal carcinomsarcoma : Analyses of its morphological characteristics using endoscopic, histological and immunohistochemical procedures."Endoscopy. 32. 706-711 (2000)
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[Publications] Gen Oshiba: "Frequent expression of sialyl Le a in human esophageal squamous cell carcinoma."International Journal of Oncology. 17. 701-705 (2000)
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[Publications] Hiroshi Kijima: "Stromal CEA immunoreactivity is correlated with lymphatic invasion of human esophageal carcinoma."International Journal of Oncology. 16. 677-682 (2000)