1999 Fiscal Year Annual Research Report
膵幹細胞のβ細胞への分化増殖に関する転写因子の検討とハイブリッド型人工膵の開発
Project/Area Number |
11877219
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
土谷 まり子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (00266826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 健 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (00246472)
大河原 久子 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (10075468)
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Keywords | インシュリン / 人工膵島 / ブタ |
Research Abstract |
【目的】ブタの膵β細胞は、免疫原性、安全性の点から人工臓器としてのインシュリン分泌細胞として適するものであり、その基礎的検討として、ブタインシュリン遺伝子の配列と発現の変化等の検討は、今後の細胞のintegrityの確認、遺伝子操作に不可欠と考えられる。今回、ブタインシュリン遺伝子のhomology cloningを行い、その発現を確認する。【方法】遺伝子配列が種間で保存されている領域でdegenerated primerを作製し、ブタ膵培養β細胞よりmRNAを抽出し、reverstranscription-PCR法で増幅する。さらに、遺伝子サイズが大きくないことが予測されるため、RACE(rapid amplification of cDNA end)法を施行して、cDNAの全長を得る。決定された塩基配列から、probeを作製し、Northern解析により、ブタ膵培養β細胞のインシュリン遺伝子の発現の変化を20mM高グルコースおよび5μMフォルスコリン刺激により観察した。【結果】ブタインシュリン遺伝子は、ヒトインシュリン遺伝子とのhomologyが高く、α鎖、β鎖ともよく保存されていた。Northern解析では、培養中のグルコース濃度に反応して、mRNAの発現の増加が観察され、また、フォルスコリンでも2倍以上の顕著な増加が認められた。【結論】ブタの膵β細胞は、インシュリン産生人工膵島として臨床的応用が検討されている。先に挙げた利点がある反面、primary cultureにおける大量摂取、培養細胞の分化増殖能や分泌機能の維持に関しては改善すべき点があり、このことは人工臓器の質的向上に大きく関わる問題である。今回、分離培養を行っている細胞固有の遺伝情報の基礎的検討を目的に、ブタインシュリン遺伝子のクローニングを行い、その発現を確認した。
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