2000 Fiscal Year Annual Research Report
脳動脈平滑筋細胞の形質転換の可能性と各腫脳血管病変における意義:分子生物学的検討
Project/Area Number |
11877231
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大熊 洋揮 弘前大学, 医学部, 講師 (40211099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾金 一民 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (70292159)
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Keywords | 平滑筋 / 形質転換 / 脳血管攣縮 / クモ膜下出血 |
Research Abstract |
クモ膜下出血後の脳血管攣縮において,脳動脈平滑筋細胞の形質転換の有無を実験的に検討した.ラットを用い,クモ膜下出血は大槽を24ゲージ針で穿刺し,大腿動脈から採取した自家動脈血を大槽内に0.3ml注入することにより作製した.クモ膜下出血作製後,1,2,4,8日後に脳底動脈を摘出し,組織学的検索および分子生物学的検討を行った.組織学的検索は,脳底動脈を固定,脱水,パラフィン包埋後,薄切しHE染色後光顕で観察し,脳血管攣縮の程度を評価した.分子生物学的検討は脳底動脈からAGTC法によりtRNAを抽出し,形質転換の非特異的マーカーであるβアクチンmRNAに関し検討した.一つはNorthern blottingにより,一つは3'untranslated regionを標的としreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法で検討した. 組織学的検索では,クモ膜下出血後4日目をピークとして,血管内腔の狭小化,中膜平滑筋層の面積の増大が確認された.分子生物学的にはNorthern blottingでクモ膜下出血後4日目をピークとしてβアクチンmRNAの増加がみられ,またRT-PCRでは正常では297bp PCR productのみがみられるのに対しクモ膜下出血後4日目をピークとして472 bp PCR productが優位となる所見がみられた. βアクチンmRNAおよびその3'untranslated regionの構造変化は,細胞の肥大,増殖などをもたらし,平滑筋の形質転換,リモデリングに関連するとされていることから,この実験で得られた結果は脳血管攣縮時に平滑筋の形質転換,リモデリングが生じ,血管内腔狭小化に影響を及ぼす因子となることを示唆していると思われる.
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