2000 Fiscal Year Annual Research Report
患者の満足度に基づいた脳神経外科手術後機能予後判定基準の開発と適応
Project/Area Number |
11877235
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森田 明夫 東京大学, 医学部・附属病院, 講師 (60302725)
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Keywords | QOL / SF-36 / EQ5D / Rankin scale / Neurosurgery / Skull base tumors / 脳神経外科手術 / 脳・脊髄疾患 |
Research Abstract |
脳神経外科疾患およびその治療が、患者の健康感(肉体的・精神的及び社会的)にどのように影響するのか?一方現在既存のHLQOLの計測方法が脳神経外科患者においてどの程度有効に用いることができるのか?という点を検討するために本研究を行った。まず米国を中心にもちいられているSF-36邦訳版、ヨーロッパを中心に使用されているEQ-5D邦訳版をもちいた複合質問表を作成した。まず前向き調査として当院において、脳神経外科手術をうける患者の術前、3ヶ月、1年において用い、その解答率、実際の結果を検討し従来の方法による患者評価との相違、またその時間的経過、疾患・重症度による相違を検討する。現在まで、52例の観血的手術前患者(聴神経腫瘍14例、頭蓋底髄膜腫14例、下垂体腺腫7例、非頭蓋底髄膜腫4例、神経膠腫4例、脊髄疾患4例、など)、および12例のガンマナイフ治療前後の患者に本調査表を用いている。治療後の患者に対する調査は現在進行形であり、28例の患者の3ヶ月後経過が得られている。現段階では、患者の本調査への回答率は67%であり、今後この改善を図ってゆかねばならない。回答された患者の記入率は90%以上であり良好であった。QOL指標測定結果として、脳神経外科疾患を患う患者の殆どが精神面・肉体面での機能および役割が、一般人に比して低下していた。またEQ5DのVisual analog scaleによると、術前のレベルはほとんどの症例で50〜60%以下であった。術後大きな合併症のなかった症例では、手術後3ヶ月の段階で殆どのScaleで術前レベルまたはそれ以上への改善がみられた。本研究の成果として、脳神経外科疾患を患う患者においても医療側の努力により既存のHLQOL計測方法を十分にもちいることができ、術前後患者の日常レベルの状況把握に有用であることが判明した。今後、さらに症例数を増やしまた回答率を向上させて脳神経外科領域におけるQOLの概念を普及し、また新たに改善された簡便な計測指標を導入してゆこうと計画している。
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