1999 Fiscal Year Annual Research Report
脳に特異的なマトリックスメタロプロテアーゼ遺伝子の単離
Project/Area Number |
11877236
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山下 純宏 金沢大学, 医学部, 教授 (90026948)
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Keywords | 神経膠芽腫 / 浸潤 / MMP / aggrecanase |
Research Abstract |
脳特異的な新規MMPのクローニングを行う目的で、正常脳及び浸潤能の著しい神経膠芽腫組織よりRNAを抽出し、これを鋳型としてRT-PCR法でcDNAを作製した。次いで、MMPにおいてアミノ酸配列がよく保存された領域に着目し、活性ドメインに対応する混合オリゴヌクレオチドをプライマーにしてPCR法で遺伝子断片を増幅した。ここで得られた7種類の候補遺伝子をプラスミドベクターへサブクローニング後その塩基配列を決定した。これらを既知のMMPと比較すると、いずれも既知のMMPであった。 現在我々は、近年単離された細胞外マトリックス分解酵素であるアグリカネース-1,2の神経膠腫における発現についての検討を始めた。アグリカネースは既に正常脳で発現することが知られており、脳固有のプロテオグリカン分解に関係することが示唆されている。これまでに定量的RT-PCR法にてアグリカネース-2が腫瘍の組織学的悪性度を反映することが示された。今後はin situ hybridzation法にて組織内での局在を、また浸潤能について神経膠腫細胞株への遺伝子導入や実験動物への移植を計画している。プロテオグリカンに富んだ脳組織の中で、プロテオグリカンを特異的に分解する酵素については未知であり、我々の研究は脳腫瘍の浸潤機構を解明する上で新たな知見を得ようとするものである。
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