1999 Fiscal Year Annual Research Report
抗腫瘍性蛍光色素の微量放射線励起による新しい骨肉腫治療の開発
Project/Area Number |
11877256
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
楠崎 克之 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (30177993)
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Keywords | 骨肉腫 / アクリジンオレンジ / 放射線 / フリーラジカル / 光線力学的治療 |
Research Abstract |
われわれは、アクリジンオレンジ(AO)と低線量の放射線照射を併用する(併用法)ことで強力な殺細胞効果を生じる事を発見した。平成11年度の化学研究補助費によりin vitroおよびin vivoでの研究を進め、その結果、併用法の持つ殺細胞効果は放射線単独照射では10Gy以上の効果を有し、光線力学的治療法(PDT)で得られるものと同程度のであることが判明した。またその殺細胞効果は、放射線によりAOが励起されて生じた一重項酸素が主な役割を果していることも分かった。さらにin vivoの実験でも併用法を用いることで腫瘍増殖を抑制することに成功したが、現時点では腫瘍増殖を完全に抑制する事はできなかった。この結果より励起に放射線を利用した併用法はPDTの最大の弱点である、励起光の透過性を完全に克服した治療法であり、臨床応用できればその適応範囲は整形外科のみならず全科におよぶものである事が判明した。以上の研究結果は第44回Orthopaedic Research Society、日本整形外科基礎学術集会、をはじめ国内外の多数の学会で発表した。今後はin vivoにおける併用法での治療プロトコールの完成を目的とした、至適投与量、至適投与条件などの研究を行う予定である。またAOの誘導体や他の抗腫瘍性蛍光色素に対しても同様の研究を行う予定である。
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