1999 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の脳保護作用の分子機構:熱ショック蛋白の動態解析
Project/Area Number |
11877267
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
澄川 耕二 長崎大学, 医学部, 教授 (60028660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻田 俊也 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (40244066)
轟木 幸子 長崎大学, 医学部, 助手 (50039541)
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Keywords | 熱ショック蛋白 / 虚血再還流 / 遅発性神経細胞死 / 海馬CA1 / in situハイブリダイゼーション |
Research Abstract |
一過性脳虚血により数日後に起こる神経細胞死は、ネクローシスにもアポトーシスにも定義されない機序が関与している可能性があり、遅発性神経細胞死とよばれているが、その分子病態は不明な点が多い。一方、熱ショック蛋白(heat shock protein)は、様々なストレスが誘因となって発現する蛋白である。脳虚血再還流後の神経細胞にも熱ショック蛋白70が発現することが知られており、細胞のストレス障害に修復的に働くことが知られている。他方、ある種の麻酔薬に脳保護作用があることが認められているが、その分子機構については不明な点が多い。熱ショック蛋白と麻酔薬の脳保護作用における関連性については、明らかでなく、本実験は熱ショック蛋白の動態解析に基づいた麻酔薬の脳保護作用の分子機構に関する研究を目的としている。 スナネズミに5分間の一過性前脳虚血を負荷し、海馬CA1領域の錐体細胞における遅発性神経細胞死のモデルを作成した。全身麻酔薬プロポフォールが遅発性神経細胞死および熱ショック蛋白70mRNAの発現に与える影響をRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーション法を用いて解析している。 鎮静量のプロポフォールは、海馬CA1領域の神経細胞の生存率を対象群と比べて上昇させない。また、対象群、プロポフォール群ともに、虚血再還流48時間後に海馬CA1領域に熱ショック蛋白70mRNAの発現がみられ、その発現量に有意差は見られていない。現在、麻酔量のプロポフォールや、手術に用いた麻酔薬の影響を取り除いた場合のペントバルビタール単独での影響や、ケタミンについて検討中である。
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