2001 Fiscal Year Annual Research Report
内分泌活性腫瘍(副腎腫瘍)の経皮的レーザー治療の開発
Project/Area Number |
11877278
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
青柳 貞一郎 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (40291679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮地 系典 東京歯科大学, 歯学部, 助手 (20229850)
早川 邦弘 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (00198821)
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Keywords | 内分泌活性腫瘍 / 副腎腫瘍 / Yagレーザー / エタノール注入固定 |
Research Abstract |
本年度は雑種成犬を用いたレーザー照射実験をおこなった。すなわち、これまでのラット副腎組織を用いたin vitro及びvivoでのレーザー照射のデーターをふまえて右副腎に対し超音波ガイド下にレーザープローべを穿刺する実験計画を立てた。しかしながら、雑種成犬を用いたモデルでは解剖学的問題と、正常副腎をモデルにしている関係上target organが小さく、毎回正確に同一条件での穿刺が困難であった。このため開腹して直視下に副腎穿刺をおこなってレーザー照射するグループを実験に加えることとした。いずれの場合も対側の健常副腎を開腹下に摘出した。 現在までに各2頭をおこなっているが、開腹下にレーザープローベを穿刺したグループは第8,第9病日にいずれも副腎不全と考えられる病態で死亡した。死亡後におこなった解剖では、レーザー照射した右副腎は完全に壊死に陥っており、健常組織を認めなかった。一方超音波ガイド下に穿刺をおこなったグループはいずれも術後1ケ月を経過して生存しており、各35、40病日にネンブタールの静脈注射にて犠死せしめ、レーザー照射した副腎を摘出して検討した。その結果、肉眼的にも健常副腎組織の残存が認められ、また病理組織学的にもほぼ全ての切片で多くのviable cellの残存を確認した。以上の結果からは直視下でのレーザー照射では内分泌活性をほぼ完全に失活し得る効果を得ることができると考えられるが、モデルの関係もあり、体外からのアプローチでは安定した結果が得られないことが判明した。すなわち、これまでのところ腹腔鏡などの方法により直視下にレーザー照射をおこなうならば十分な効果を得ることができると考えられた。安全性についての実験はまだ大型動物でおこなっておらず、今後も引き続き健常対側副腎を残して長期生存させたモデルを作成して安全性の検討を行う実験を予定している。 平行しておこなっているラットを用いたエタノール使用モデルについては、前回までの結果を踏まえて単回投与では効果にばらつきの見られた低濃度による反復投与の効果を検討中である。すなわち症例や経過病日によりviable cellの残存やその分布にばらつきがみられた0.8ml/kgの注入を1週間間隔で2回、3回、4回注入した群を作成してその効果を見た。これまでの結果では2回投与群で83%の症例に、3回投与群ではほぼ100%の症例で副腎viable cellの完全壊死を得ることができた。しかし、3回投与例の中に頻回のエタノール注入によると思われる死亡例が11例中1例存在し、頻回注入の技術的な問題が考えられた。 以上、未だ最終結論は得られていないが、低侵襲性を目指した内分泌活性腫瘍に対するレーザー及びエタノール注入治療は有用な方法になりうることが示された。
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