1999 Fiscal Year Annual Research Report
卵胞発育調節機構解明のための卵胞三次元培養法の確立
Project/Area Number |
11877287
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
下仲 基之 東京理科大学, 理学部・化学科, 助教授 (30277272)
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Keywords | 原始卵胞 / 成熟卵胞 / 顆粒膜細胞 / コラーゲンゲル / 温度感受性ポリマー / スフェロイド |
Research Abstract |
卵母細胞の成熟過程をダイナミックに調べるためには,卵胞構成細胞を含んだ卵胞の三次元培養を行なう必要がある。培養皿上で培養を行なうと,原始卵胞は卵胞腔のある状態へと発育していくが,周囲の機械的な支持が存在しないため完全な腔構造を形成することは難しく,ある程度の大きさを越えると途中で腔構造は崩壊する。そこでこれらの問題点を改善するために以下の方法により培養を試みた。 i)collagenゲルを用いる方法:FSH存在下collagenでコートした培養皿を用いて17日齢ラットの卵巣より調製した原始卵胞を培養(2D培養)したところ,原始卵胞はある程度以上の大きさには成長せず崩壊した。一方,collagenのゲルを敷いた上で卵胞を培養(semi-3D培養)した場合,あるいはその上にさらにcollagenゲルを重層し培養(3D培養)した場合,原始卵胞はいずれも卵胞腔のある状態へと発育した。そこにLHを添加すると卵胞の崩壊が起こることから,原始卵胞は成熟卵胞へと発育していると考えられる。semi-3D培養に比べ3D培養では成熟卵胞への発育率は2-3倍であった。 ii)温度感受性ポリマーを用いる方法:37℃では高分子状態を維持し,30℃以下ではモノマーとなり水溶性となる温度感受性ポリマーpoly-N-isopropyl acrylamideとcollagenとでコートした培養皿上でまず顆粒膜細胞の培養を行なった。細胞の増殖が確認された後温度を下げることにより,細胞は一枚のシートとして回収された。これを非接着性の培養皿上で培養することにより,スフェロイド(球状細胞凝集塊)を形成することが確認された。現在異なる二種類の細胞群を用いてヘテロスフェロイドの形成を行なうための条件を検討中である。
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