1999 Fiscal Year Annual Research Report
味の嗜好性(おいしさ)嫌悪性(まずさ) 発現に関与する脳内生理活性物質の探索
Project/Area Number |
11877322
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 隆 大阪大学, 人間科学部, 教授 (60028793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
硲 哲崇 大阪大学, 人間科学部, 助手 (90243154)
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Keywords | 味 / 嗜好性 / 嫌悪性 / 脳 / 生理活性物質 |
Research Abstract |
本年度はラットを用いて2種類の実験を行った。1つは、ラットの好むショ糖と嫌うキニーネなどを与えたとき、脳脊髄液や血液中にβ-エンドルフィンが増えているかどうかを調べた。 甘味物質摂取時の快情動発現に麻薬様物質が関与するか否かを明らかにするため、ショ糖、サッカリンを含む各種味溶液を摂取したときのβ-エンドルフィン量の動態を検索した。ウィスター系雄性ラットに絶水条件下で水、0.5Mショ糖、0.005Mサッカリン(ナトリウム塩)、0.1M食塩水、10^<-4>Mキニーネ(塩酸塩)のいずれかを自由に摂取させたあと90分後に麻酔下で脳脊髄液、血液を採取し、ラジオイムノアッセイ法によりβ-エンドルフィン量を測定した。脳脊髄液中のβ-エンドルフィン量は絶水負荷で変化せず、水を含むすべての溶液の摂取で増加した。ただし、ショ糖、サッカリンでもっとも大きく増加した。血液中のβ-エンドルフィン量は絶水負荷で増加し、水や食塩水を飲んでも変化は少なかったが、キニーネ刺激で減少し、ショ糖やサッカリンで顕著に増加した。脳脊髄液中のβ-エンドルフィンはのどの渇きがいやされたときの快感に関与し、血中のそれは味の嗜好性評価と密に相関することが示唆される。 もう1つは、未知の物質の遊離の可能性を探るため、ヒドラのバイオアッセイ系を用いた実験である。ラットにショ糖やキニーネを与えたあとの脳脊髄液を調べたところ、キニーネ刺激により分子量的1万の物質が特異的に増加していることがわかった。「まずさ」に関連する可能性があるため、次年度にはこの物質の本態を探る実験を行う予定である。
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[Publications] N.Sako and T.Yamamoto: "Electrophysiological and behavioral Studies 〜"American Journal of Physiology. 276・2. R388-R396 (1999)
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[Publications] N.Sako and T.Yamamoto: "Analyses of taste nerve responses with 〜"Neuroscience Letters. 261・2. 109-112 (1999)
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[Publications] N.Sakai and T.Yamamoto: "Possible routes of visceral information 〜"Neuroscience Research. 35・1. 53-61 (1999)
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[Publications] 永井 元、 山本 隆 他: "脳磁場計測によるヒト味覚関連中枢応答性〜"日本味と匂学会誌. 5・3. 371-374 (1998)
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[Publications] 永井 元、 山本 隆 他: "食物関連視覚刺激のヒト中枢情報処理機構〜"日本味と匂学会誌. 6・3. 633-636 (1999)