1999 Fiscal Year Annual Research Report
エナメル蛋白のミクロ相分離構造によるアパタイト結晶の配向制御
Project/Area Number |
11877341
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
荒木 吉馬 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20005036)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
昆 隆一 岩手医科大学, 歯学部, 助手 (80285634)
斉藤 設雄 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (70137537)
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Keywords | エナメル蛋白 / 相分離 / 結晶配向 / エナメル形成 / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
歯エナメル質形成における蛋白(アメロゲニンおよびエナメリン)の石灰化に対する役割、特にアパタイト結晶の空間的整列に対する作用機序を解明することを目的として、両蛋白の凝集構造および相構造の検討を行った。検体には食肉検査事務所の協力を得て採取した牛胎児の幼弱歯を用いた。 本年度は、まず幼弱エナメルのアパタイト結晶間のマトリックスのナノ構造を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて直接観察するために、歯冠頂部から歯頚部に至る歯軸に平行なエナメル切片を作製し、鏡面研磨およびグアニジンでエッチングした。現在のところ、試料状態およびAFMの観察条件の探索に時日を費やしており、分子レベルの鮮明な画像は得られていないが、グアニジンエッチングを行ったエナメルのアパタイト結晶には、マトリックス蛋白が強く付着している様相が認められ、アメロゲニン/エナメリンの相分離構造を窺わせる所見が得られた。一方、幼弱エナメルからグアニジン抽出によって、アメロジェニンとエナメリンを分離精製し、それぞれ単独と両者の混合物について、マイカ上に吸着させた状態でAFM観察を行った。アメロジェニン単独では、数十ナノオーダーの球状の凝集構造が認められたが、アメロジェンとエナメリンの混合物では、球状構造が崩れており、両者に相互作用が働いていることが示唆された。次年度はこれをもとに、引き続き、さらに解像度の高いAFM観察をめざし、両マトリックス蛋白のナノスケールの相分離構造の解明に努める。
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