1999 Fiscal Year Annual Research Report
ヒスチジン脱炭酸酵素欠損マウスを用いたアレルギー炎症におけるヒスタミンの役割解析
Project/Area Number |
11877381
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 和雄 東北大学, 大学院・薬学研究科, 教授 (20006357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平澤 典保 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (80181155)
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Keywords | ヒスチジン脱炭酸酵素 / ヒスタミン / 皮内反応 / compound48 / 80 / アレルギー性空気嚢型炎症 / 血管透過性 / 白血球浸潤 / H_2受容体 |
Research Abstract |
ヒスチジン脱炭酸酵素(HDC)欠損マウスを用いてアレルギー性炎症におけるhistamineの役割について解析した。HDC欠損マウスにhistamineを皮内注射すると、野生型マウスと同程度の血管透過性亢進がみられ、histamineに対する反応性には変化がないことを確認した。しかし肥満細胞の脱顆粒を誘発するcompound48/80を皮内に注射しても血管透過性は全く亢進しなかった。さらに、これらのマウスにアレルギー性空気嚢型炎症を誘発し、血管透過性と白血球浸潤におけるhistamineの役割を解析した。抗原刺激により、野生型マウスではhistamineの遊離とともに、アナフィラキシー様の血管透過性が亢進するが、HDC欠損マウスではhistamineの遊離は認められず、血管透過性の亢進も全く認められなかった。また、抗原刺激後4から8時間後の白血球侵潤数は、HDC欠損マウスで野生型マウスより有意に増加した。野生型マウスにH_2受容体拮抗薬cimetidineを投与した場合、HDC欠損マウスと同程度まで浸潤白血球数が増加し、逆にHDC欠損マウスに抗原刺激とともにhistamineを空気嚢内に注射すると白血球浸潤は低下した。これらの結果から、肥満細胞の脱顆粒により誘発される血管透過性亢進にはhistamineが中心的な役割を果たしていること、さらに白血球浸潤に対してはH_2受容体を介して抑制的に作用していることが示唆された。このようにアレルギー性炎症において、histamineは多様な役割を果たしていることが明らかになった。
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