1999 Fiscal Year Annual Research Report
環境化学物質に対するin vitro ヒト胎盤関門の毒性評価系の確立とその評価
Project/Area Number |
11877400
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 徳夫 大阪大学, 薬学研究科, 講師 (60176352)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 剛 大阪大学, 薬学研究科, 助手 (50303988)
田中 慶一 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (90068247)
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Keywords | 環境化学物質 / 胎盤関門 / 生殖・発生毒性 / 内分泌かく乱作用 |
Research Abstract |
本研究では、環境化学物質のヒトにおける生殖・発生毒性を評価する目的で、ヒト絨毛細胞株を用い、in vitro胎盤関門毒性評価系の構築を試みた。本研究の研究目標は、発生毒性のなかでも妊娠時における化学物質の母児間動態評価、および胎盤関門に対して機能修飾による二時的な発生毒性の予測を可能とする評価系を構築することである。多孔性の人口膜チャンバー内に細胞を播種することで構築した胎盤関門評価系の妥当性を評価するため、モデル化学物質として蛍光ラベルしたデキストランを用い、その透過性を評価した。その結果、Jar細胞、JEG-3細胞、BeWo細胞のいずれにおいても播種後5〜7日で透過性が最もtightとなり、その後11日目までその透過性は維持された。またその透過性はデキストランの分子量増大に依存して低下した。またほとんどの化学物質が分子量1000以下と比較的手分子量であることから、よりtightな評価系を構築する目的で、アスコルビン酸を添加してデキストランの透過性を検討した。アスコルビン酸は細胞間隙を強固にすると考えられる細胞外マトリックスの基質であり、これを添加することによりよりtightな胎盤関門評価系の構築が期待できる。しかしながら予想に反して、アスコルビン酸は透過性になんら影響を与えなかった。次に、実際に内分泌かく乱作用があると疑われている化学物質を作用させた検討を試みた。まず各細胞に対する化学物質の細胞毒性について検討を行った。一般に胎盤細胞は化学物質に対する感受性が高く、この点において細胞毒性の検討は胎盤関門評価系の妥当性を示す上で重要でると考えられる。その結果、エストラジオール、ビスフェノールAなどのエストロジェンやDTTは、10^<-5>Mにおいても培養3日目までは増殖に影響を与えなかったが、4日目以降から若干の増殖抑制が確認された。またホルモンレセプターとの親和性が全くない有機スズについては、10^<-6>Mで完全に細胞が死滅した。現在このような結果を踏まえつつ、化学物質の胎盤関門透過性への影響について検討を試みている。
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